【横浜】失点につながるパスミスと――GK飯倉大樹の“2つの転機”となるプレー

2018年10月14日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

10分のピンチは果敢な飛び出しで事なきを得る

自らのミスで相手に流れを与える失点を許した飯倉。ただ、それ以外は終始、安定感あるセービングでチームの決勝進出に貢献した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァン杯準決勝第2レグ]横浜2-2鹿島/10月14日/ニッパツ
 
 痛恨のミス。それは本人も認めている。
 
 2-0で迎えた62分、横浜のGK飯倉大樹がゴールキックをペナルティエリアの近くにいた天野純に出す。これを鹿島の土居聖真が狙っていた。天野に届く前にカットし、そのままゴールに流し込んだ。
 
「その前に、2回ぐらい、つなげていたから、うまくやろうとしたぶん……。そこで流れが変わってしまったのは、俺の責任」
 
 後方からつないでいくのが、今季の横浜のスタイル。それを狙われた形で、飯倉が語るとおり、この失点で鹿島が勢いづき、70分には2点目を奪われている。
 
 最終的には、トータルスコア4-3で決勝に進むことはできた。アウェーの第1レグを2-1で勝っていたのが大きかった。ただ、この第2レグで3点目を奪われていれば、4-4となるがアウェーゴールの差で、敗退していたのは横浜のほうだった。
 
 辛うじて2-2の引き分けに終えることができたが、薄氷を踏むような試合だった。2点のリードを守り切れなかった。その引き金となるミスに、飯倉も反省を口にする。
 
 もっとも、自分たちが2点を奪う"きっかけ"を作ったのも、また飯倉だった。鹿島に流れが傾きかけた10分、ペナルティエリアに侵入してきた安西幸輝と1対1の危険な場面を作られるが、果敢に前に飛び出して、事なきを得ている。
 
 大きなピンチを凌いだ後の横浜は、20分にウーゴ・ヴィエイラ、34分には仲川輝人がゴールネットを揺らして試合を有利に進める。飯倉のファインセーブがひとつの転機となったのは間違いない。
 
「あれもひとつのターニングポイントだったとは思う。自分でターニングポイントを2つ作ったみたいだけど(笑)、鹿島が今日は最初から来るっていうのは、ある程度、予想していたし、そのなかでああいうプレーができて、前半に2点取れて、良い形で後半に入ることができた。だけど、俺のミスでまた相手にパワーを与えてしまった」
 
 決勝進出に安堵する一方、最後まで自らの失態を悔やむ。だが、先述の安西を止めたプレー以外にも、劣勢にさらされた後半、山口一真の際どいシュートをブロックすれば、多くのCKを与えたなかで、何本もゴール前に放り込まれたクロスを含め、ハイボールの処理は終始、安定し、確実なキャッチングでチームに落ち着きを与えていた。
 
 失点に直接関与するミスはあった。それ以上に、飯倉の好守が目立つ試合でもあった。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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