"森保流"の選手選考と采配の妙。歴代外国人監督とは明らかな違いが

2018年10月13日 佐藤俊

海外組、国内組にかかわらず、結果を出した選手をしっかりと起用

森保監督は、Jリーグで結果を残す選手を積極的に招集し起用している。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 森保一監督が指揮する日本代表がパナマに3-0で勝利した。
 
 2試合連続の完封勝利であり、新しいメンバー、若手選手とワールドカップ組の融和が徐々に進行している様子が見えた。だが、一番の変化を感じたのは、国内組と海外組の垣根が取っ払われてきていることだ。
 
 日本代表に海外組、国内組について議論され始めたのはトルシエの時代だった。中田英寿に加え、小野伸二、稲本潤一、高原直泰などが日韓ワールドカップ前年に海外に移籍し、クラブとの調整が始まった。だが、この時は海外には誰でも行ける時代ではなく、海外組と国内組の選手の間には明確な差があり、海外組が代表の中心になるのは当然と言えば当然だった。
 
 海外組偏重主義があからさまになったのはジーコの時代からだ。ワールドカップ予選前、国内組で合宿をしてもいざアウェーに入り、試合となると2日前に現地入りした海外組の選手を起用し、苦戦を強いられた。「俺たち必要ないじゃん」という国内組の声が大きくなり、チーム内には「海外組が優先」という暗黙のルールが出来てしまったのである。その影響のせいか、ジーコの時は多くの選手が海を渡った。代表に入るには海外に行ったほうが圧倒的にチャンスが広がるからである。
 
 海外組偏重主義の傾向はザッケローニ監督の時にも見られた。海外組を中心にメンバーをほぼ固定していたのだ。国際Aマッチデー以外は国内組を起用していたが基本的には海外組中心は変わらなかった。ハリルホジッチ監督になってからはジーコの時のようにその傾向がより顕著になった。国内組はほぼノーチャンス、Jリーグで活躍したところで代表への道は明らかに狭く細く、「所詮、国内なんで」と諦めムードさえ漂っていた。それが監督への不信感につながり、チームに閉塞感を生み、チームがひとつになりきれないひとつの要因になっていた。
 
 森保監督の選手選考は、過去の外国人監督とは明確に異なっている。
 
 前回のコスタリカ戦で言えば故障者による代替だったが天野純、守田英正らチームで活躍している選手が招集された。今回も直前の磐田戦で2ゴールを挙げて活躍し、28試合・11得点と結果を出していた北川航也、復調気味だった川又堅碁が入った。
 
 海外組、国内組にかかわらず、結果を出した選手をしっかりと起用するという極めてまっとうな采配をしているのだ。さらに天野、守田ともにコスタリカ戦で途中出場し、今回のパナマ戦では北川と川又が66分からともに投入され、実戦を経験することができた。また、前回3分しか出場時間がなかった三竿健斗も今回はスタメンでの出場になった。
 

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