次々に逸材を見出す湘南の敏腕スカウト!牛島真諭が明かす鳥栖時代に発掘した天才・鎌田大地の獲得秘話

2018年10月12日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

牛島スカウトが語る鎌田の第一印象は「ワクワクする」

一目で鎌田の才能に惚れ込んだ牛島氏。彼のプレーに魅了され、クラブに獲得を進言した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 湘南ベルマーレでスカウトを担っている牛島真諭。強化部のなかではひと際若く、年齢は32歳だ。ただ、その仕事っぷりは凄まじい。

 2016年に湘南へやってくると、当時に市立船橋高で評価を高めていた杉岡大暉を他クラブと競合しながらも獲得。翌年には大学サッカー界で名を挙げていた坂圭祐(順天堂大)と松田天馬(鹿屋体育大)をクラブに呼び寄せた。

 いずれも1年目からレギュラーとして見事な立ち振る舞いを見せているように、牛島は有能な選手たちを送り込んでチームを陰から支えている。
 
 次々に若き才能を発掘する牛島だが、そのスカウティング能力は鳥栖時代から評価が高い。大学卒業後に分析コーチとして鳥栖へ加わり、翌年からスカウト業務をスタートさせて多くの才能を見出してきた。

 千葉でプレーする清武功輝や元日本代表で山形に所属する坂井達弥らも、牛島が獲得した選手。そして、忘れてはならないのが、2015年に東山高から加入した鎌田大地(現シント=トロイデン)だろう。
 年間約300試合を見る牛島はいかにして鎌田を発掘し、獲得したのか。話は2014年に遡る。まず、最初にプレーを見たのは、その年のゴールデンウイークだったという。
 
「東福岡の中島(現・岐阜)や増山(朝陽/現・神戸)、赤木翼(現・九州産業大)を見に行ったんです。単純にそっちが目当てでした。その時、大地は点を取ったと思うのですが、最初に見た印象はとにかく凄いなと。坂井とか清武も魅力を感じたけど、大地は見た瞬間にワクワクしてしまいました」
 
 具体的になにが凄いのか。その問いかけに対し、牛島は目を輝かせながらこう話す。
 
「予想を覆すプレーをしてくれる。右に出すと思ったら、左に出すまで出来る子は全然いるのですが、彼はそれをおとりに使って、右に出すんですよ。彼は先がすごく見えていましたし、こちらの想像のさらに上をいくんですよね」
 
 これだけの逸材を放って置くはずがない――。

 早い段階で他のクラブが獲得してしまうと思っていた牛島は静観をしていた。しかし、8月になっても鎌田の進路が決まっていないと知ると一気に動き出す。東山高の福重良一監督にコンタクトを取り、同月の末にクラブの練習に招いたのだ。

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