武藤嘉紀が決めた鮮烈弾の陰に名将の緻密な計算「ラファは辛抱強く見守った」

2018年10月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

ファンやメディアが先発起用を要求しても…

満を持して武藤(右端)の先発起用に踏み切った指揮官。マンU戦は惜しくも逆転負けを喫したが、ニューカッスルは次に繋がるポジティブな内容を示した。(C)Getty Images

 先週末のマンチェスター・ユナイテッド戦でプレミアリーグ初先発を飾り、見事にプレミア初ゴールも決めてみせた武藤嘉紀。地元ニューカッスルでの評価はうなぎ上りで、現在19位と降格圏に沈むチームを救う存在として、大きくクローズアップされている。
 
 そんななか、地元メディア『The Mug』は武藤を抜擢登用したラファエル・ベニテス監督の手腕を高く評価。「誰もがパニックに陥ったとき、ベニテスはなにをすべきかを心得ている。ムトウが完璧な例となった」との見出しを付け、先発起用までのストーリーを紐解いた。
 
「開幕から結果が出ないニューカッスル・ユナイテッドにあって、ひとり冷静に頭を働かせていたのがスペイン人指揮官だ。サロモン・ロンドンは怪我が多くて当てにならず、ホセルとアジョセ・ペレスには期待が持てない。前線のタレントが軒並み振るわない状況下で、ファンやメディアは当然、950万ポンド(約14億2500万円)の大金で獲得したムトウにもっとチャンスを与えろ、スタートから使えと強く主張した。だがラファは耳を貸さなかったのだ。それは我慢の采配だった」

 
 7節までに武藤は6試合に出場。すべてゲーム終盤の登場で、合計86分間のプレータイムしか許されなかった。ベニテス監督は武藤の能力に疑いがないことを認めつつも、「まだプレミアにフィットしていない」「簡単に倒れすぎだ」「英語の読解力が足りない」など少なくない注文を付けてきた。

 同メディアは「ラファは(8月29日の)カラバオ・カップ2回戦、ノッティンガム・フォレスト戦でムトウを先発で使い、時期尚早と悟ったのだ。そこからは慎重だった。(元監督の)アラン・パーデューやスティーブ・マクラーレンだったら躊躇せずにピッチに投じただろう。だが、彼はムトウの将来を考えてタイミングを図っていたのだ」と記している。
 
 さらに同メディアは、これまで入団まもなくフィットしないなかで重用され、その後消えていった選手たちは数知れない、とりわけプレミアの舞台はその傾向が強いと論じている。加えて、「ラファは辛抱強くムトウを見守ってきた。そしてムトウはみずからゴールを決めたユナイテッド戦にあっても、結果的に敗戦した事実を重く受け止め、反省を口にする誠実さの持ち主だ。両者は良好な信頼関係を築いている」とし、「今後は厳しい対戦相手から解放される。これからの12試合でビッグ6とのゲームはひとつだけだ。ムトウとの連携によってアジョセのプレーも良化しており、チームの攻撃は改善されていきそうな気配。ファンは次のブライトン戦(10月20日)が待ち遠しいだろう」と綴った。
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