イングランドが岡崎同僚の“ベッカム2世”を初招集! 期待の俊英はいかにスターダムをのし上がったのか?

2018年10月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

4年前まで3部でプレーしていた男が歩んだシンデレラストーリー

その端正な顔つきから女性ファンの人気も高いマディソンだが、プレースタイルは往年の名手を連想させる確かなクオリティーを有している。 (C) Getty Images

「小さい頃からの夢が今日、現実となった。イングランドのA代表に呼ばれた。幸運だ」

 自身のツイッターで喜びの声を綴ったのは、現地時間10月4日に発表されたUEFAネーションズ・リーグのクロアチア戦とスペイン戦に臨むイングランド代表に初招集されたジェームズ・マディソンだ。

 マディソンは今まさにシンデレラストーリーを歩んでいるところだ。4年前まで英3部でプレーしていた21歳は、そのキャリアを地元のクラブでスタートさせている。

 英国中部の自動車産業で栄えた街、コベントリーで生まれたマディソンは、幼少期からサッカーに没頭。7歳で地元の名門コベントリー・シティの扉を叩く。そして、その才能はみるみるうちに磨かれ、下部組織でのプレーを経て17歳となった2014年8月13日のリーグカップ、カーディフ戦でトップチームデビューを飾った。
 今に繋がる転機となったのは、昨シーズンの躍動だ。2016年1月に移籍していたノーリッジ(最初の1年はコベントリーとアバディーンへレンタル)で、元ドルトムントU-23のドイツ人監督、ダニエル・ファルケから全幅の信頼を寄せられ、定位置を確保したのだ。

 この期待が自信になった。公式戦で15ゴール・11アシストをマークし、チャンピオンシップ(英2部)の年間ベストイレブンに選出され、誰もが認める目に見える結果を残したのである。

 そして、今夏にマディソンは、レスターへとステップアップを果たした。プレミアリーグ優勝を争うトッテナムからも熱心なオファーがあったなかで、レスターと5年もの大型契約を結んだ理由を、本人は地元紙『Leicester Mercury』で次のように説いている。

「移籍については、長い時間をかけて必死に考えたよ。代理人、そして母さんや父さんとも話し合った。クラブ側の話も聞いて、レスターこそが僕に適した場所だと感じたんだ。僕の心が『行け!』と言ってきたんだ。それを無視することはできなかったね」

 野望を胸にレスターへやってきたマディソンは、背番号10を与えられ、日本代表FWの岡崎慎司に取って代わって、チームを牽引する活躍。プレミアリーグでは、開幕7試合連続で先発出場を飾り、3ゴール・2アシストと結果を残している。

 その最大の魅力は、フィジカル任せの選手が多いイングランド人には珍しい柔らかいボールタッチと、正確無比で多彩なキックの精度。『Leicester Mercury』で、クラブOBのトニー・コッティは、そのプレーぶりを「プレーにスピードこそないが、ベッカムを思わせる。一級品のFKはまさにそれだ」と絶賛している。

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