昨シーズン2位からの開幕3連敗…「前に進むために一歩下がる」シャルケの巻き返しが始まる!? 【ドイツ発コラム】

2018年09月21日 中野吉之伴

王者独走を阻止するチームの出現をファンも待望

CLポルト戦は終盤にPKを与えて勝利を逃したものの、その内容は今後に希望を与えるものだった。写真は先制直後。エムボロ(左)は冷静にゴール右隅に流し込んだ。 (C) Getty Images

 今シーズンのバイエルンのライバルはどのチームだ?
 
 ブンデスリーガは長年、いつもこの問いと向き合ってきている。
 
 優勝争いの柱は、誰に聞くまでもなく決まっている。7連覇中の王者が今シーズンも絶対的な存在となることを疑う関係者やファンはいないだろう。
 
 だからといって無条件で独走状態を許しては、リーグの緊張感はたちどころになくなるし、興味深さも激減するのは確かなこと。いつだって、バイエルンを苦しめるチームの出現が待ち望まれている。
 
 昨シーズンはペテル・ボシュ監督(当時)率いるドルトムントがスタートダッシュに成功し、逆にカルロ・アンチェロッティ前監督のバイエルンが躓いたことで、少なくとも数か月間は「ひょっとして」感があった。
 
 こうした"抵抗劇"が、可能な限り多くのチームから、可能な限り長い期間続くことをドイツのサッカーファンは期待しているし、今シーズンはその候補として、レバークーゼン、ホッフェンハイム、シャルケ、ドルトムント、RBライプツィヒの名前が挙がっていたが、3節を終了した時点でドルトムント以外は出遅れている。
 
 とりわけ、昨シーズン2位と飛躍したシャルケがよもやの開幕3連敗と、スタートダッシュに大失敗したことには、ファンもがっかりしている。
 
 昨シーズンはMVP級の活躍を見せたCBナウドに加え、今シーズン、ハノーファーからセネガル代表DFサリフ・サネを獲得。バイエルンに次ぐ失点の少なさが持ち味だった鉄壁の守備陣をさらに強化し、セットプレー時の迫力も増すはずだった。だが、開幕3試合ですでに6失点……。セットプレーからの得点もない。
 
 レオン・ゴレツカ、マックス・マイアーが抜けた中盤も整理が進んでいない。バイエルンからドイツ代表MFゼバスティアン・ルディを獲得して一気に問題解消といきたかったが、ここまでの2試合で、その効果はまだ見られていない。
 
 チームとして、どのように攻撃を構築し、チャンスを作るのか。このあたりが、どうも曖昧だ。2節のヘルタ・ベルリン戦では、ルディが密着マークされると、そこからの打開策が見られないまま、いたずらにロングボールを前線に蹴り込むことしかできなかった。
 
 こうした状況では、前線の選手も力を発揮することが難しい。ホッフェンハイムから移籍のマルク・ウートはFWの柱として期待をかけられていたが、ここまで周囲を納得させるプレーはできていない。連係が機能するまでに時間がかかるのは仕方のないことだが、自分の欲しい間でパスが出てこないと厳しい。
 
 こうした低調ぶりに、全国紙『Bild』からは「毒々しいのはユニホームの色だけ」と、小馬鹿にするような記事まで書かれる始末で……。

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