雑草魂でコツコツと――初招集・天野純の野望「自分みたいな人間がどこまで上り詰めるか」

2018年09月03日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「もうちょっと欲張ってもいいのかな」とさらなる高みを目指す

追加招集で森保ジャパン初陣のメンバー入り。これが代表初選出となった天野は「自信を持って合宿に臨みたい」とコメント。写真:徳原隆元

 強い向上心を感じたのは、昨年8月のことだった。

 鳥栖をホームに迎えた一戦は1-0の勝利。トップ下でプレーした天野純は、「チームとしてはすごく良かった」と話す一方で、「自分のプレーは3割ぐらいしか出せてなくて、満足できなかった。毎試合、勝負を決定づけるような仕事が僕の課題」と反省する。

 その後に続く言葉に、少なからず驚かされる。
 
「じゃないと、代表にも食い込んでいけないと思っている。明らかに、自分の中で目標が変わってきているので」
 
 当時、ロシア・ワールドカップを目指すハリルジャパンで、「天野純」の名前はほとんど取り沙汰されていなかった。それでも、横浜のレフティは「もうちょっと欲張ってもいいのかな」とさらなる高みを目指していた。
 
 後日のサッカーダイジェスト本誌のインタビューで、改めて日本代表について訊けば、こう答えていた。
 
「すぐ入れるとは思っていませんが、3年後ぐらいを見据えて、今からコツコツと、実は目指しています。チャレンジというか、自分みたいな人間がどこまで上り詰められるのか、それは楽しみでもある。1年前なら、今のような状況は想像もできなかった。未来がどうなるかなんて分からないし、チャンスはあるはずです」
 
 そして、ようやく掴んだ日本代表入り。他選手の怪我による不参加を受けた追加招集ではあるが、ひとつの目標をクリアした。

 横浜ユースから大学を経由して、プロになった。プロになった後も不遇の時期が続いたが、4年目の昨季から主力として活躍、今季も残留争いに苦しむチームで不動の存在として奮闘を見せている。

 トップ下でもボランチでも計算できるMFは、自他ともに認める負けず嫌いだ。「雑草魂です(笑)。ここまで歩んできた過程が無駄にならないように、さらにステップアップしたい。また時間がかかるかもしれませんが、コツコツとやり続けるのが自分らしいかなと」。
 
 地道に、しかし着実に成長を遂げてきた男が新たなステージに挑む。さらなる活躍を期待したい。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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