CSKA移籍の西村拓真は「天才的な選手ではない」 渡邉晋監督がブレイクの要因を語る

2018年09月03日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「今シーズンに関して言えばゴール前の落ち着きがあった」

CSKAモスクワへ移籍する西村拓真を育てた渡邉晋監督は花束を贈呈して送り出した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

「そんなに天才的な選手ではないですし、どっちかというと下から這い上がるほうなので、そこの部分は雑草魂じゃないですけど、ブレずにやっていきたいと思うし、自信があります」
 
 CSKAモスクワへの移籍を決めた西村拓真が、ロシアでの活躍にそう言って意気込んだ。さらに、これまで這い上がってこれたのは、仙台で身近な人たちの支えがあったと言葉を続ける。
 
「高卒で(仙台に)入って、なにもできなくて、そういう中で監督やスタッフ、選手のみんなも僕のコーチかのようにアドバイスをくれたりして、僕にはコーチがたくさんいました。その方々、みんなに凄く感謝しています」
 
 だからこそ、「まだまだ足りないですけど、すべてにおいてのレベルが上がってきている」。そして、様々な人のアドバイスを受けながら、レベルアップの「作業はずっとしてきた」ことにより、今季は24節終了時点で日本人最多タイとなる、11ゴールを記録できた。
 そんな西村を2015年の入団から手塩にかけて育ててきたのは、渡邉晋監督だ。加入当時のことを振り返りつつ、今季に得点量産してブレイクできた要因を次のように語った。
 
「まず彼の良さというのは、意識もプレーもゴールに向かう。それは彼がまだ高校3年生の時、我々の練習参加をして最初に気づかされました。こういう特徴が彼にあると分かったので、そこを磨き続けること(をしてきました)。
 
 逆にウィークはなんだったかと言うと、足回りの技術的な部分や、どうしてもボールと自分だけの関係になってしまう部分です。そういうところはコーチ陣を含めて、彼にはいろんなアプローチをしてきたと思います。チームの全体像のなかで、彼もしっかりと攻撃において立ち位置を理解して、相手を見れるようになってきた。相手を見て、今度はそれをどうやって外そうかというアイデアの整理ができてきた。それが今シーズン、飛躍的に伸びてきたのかなという感じはしています。
 
 あとは、ゴール前の落ち着きですね。どうしても去年もたくさんシュートを打っている割になかなかスコアがなかったんですけど、今シーズンに関して言えばその落ち着きがあったからこそ、ここまで11ゴールを取れたと思うので、そういった部分が彼の成長の過程なんだなと感じています」
 
 指揮官の言葉通り、西村は多くの人々に支えられて成長をしてきた。そして、その成果として今季にブレイクし、CSKAモスクワへの移籍を掴んだのは間違いないだろう。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事