ガンバ残留への救世主となる! J1通算89得点の本格派FWが担う“ラストピース”の大役

2018年08月25日 飯間 健

移籍後即スタメンで即ゴールも喜びは…

仙台戦は敗れたものの、渡邉は鋭い動き出しから先制点をマーク。G大阪でのデビュー戦でいきなり鮮烈弾を決めてみせた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 やろうとしていることは90分間、見て取れた。周囲も使おうとしていることは感じられた。だから収穫と課題、自分がやるべきことが見えた。
 
「自分が入ることで雰囲気を変えたい」
 
ヴィッセル神戸からガンバ大阪に電撃加入したFW渡邉千真は、今後に繋げていく覚悟を口にした。
 
 8月19日のJ1リーグ第23節、アウェーのベガルタ仙台戦。移籍後即スタメン出場を果たした渡邉は前半27分に先制ゴールを叩き出した。ただ、「あれは自分のシュートレンジだけど、得点を取ってもチームが勝たないと意味がない」と、逆転負けに喜びは控えめ。「攻撃では起点になろうとしたけど、なかなか味方と合わず、繋ぎでも入れないことがあった」。

 
 チームに合流したのは8月14日だ。翌15日には第22節のコンサドーレ札幌戦があったため、新しいチームメイトと合わせる時間は実質2日間しかなかった。それでも宮本恒靖監督は、J1通算88得点(仙台戦の得点で89に)のストライカーに賭けた。与えたタスクは守備時のプレッシング、そして攻撃の起点になること。渡邉は指揮官の要求に応えようとし、可能性を感じさせた。
 
 渡邉が加入する前は4人のFWが起用されていた。ファン・ウィジョ、アデミウソン、長沢駿(神戸へ期限付き移籍中)、そして中村敬斗だ。ファン・ウィジョは抜け出しと果敢なシュート意識に秀で、アデミウソンはテクニックを活かした突破が武器。189センチの長沢は高さとハードワークに優れ、ルーキーの17歳中村は積極的な仕掛けが特徴だ。
 
 多士済々な顔ぶれのなか、足りないピースは明確だった。最前線でキープができる選手。今季途中就任の宮本監督は「ボールが収まるFW」を夏の補強としてリクエストし、その期待を持って加わったのが渡邉だった。
 
 仙台戦、前半開始早々から渡邉は真ん中で構えた。身体を張ってキープすることでMF小野瀬康介やMF倉田秋の攻撃参加を促した。前半45分には相手DFに競り勝ち、アデミウソンの決定的チャンスも演出している。周囲を活かし、G大阪はチームとして連動した攻撃を展開。「前半は流れを含めて目ざすところができた」。宮本監督の求めるイメージはできていた。

次ページ必要なのはチームを活性させるポストプレーと流動的な動き

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