大怪我、禁断の移籍…「しんどい経験」を乗り越えた齋藤学が川崎での初ゴール後に語った想い

2018年08月23日 本田健介(サッカーダイジェスト)

1週間前の悔しさを見事に晴らす

湘南戦で嬉しい移籍後初ゴールを挙げた齋藤。チームメイトからも祝福された。(C)SOCCER DIGEST

【天皇杯4回戦】川崎3-1湘南/8月22日/等々力

 8月22日に行なわれた天皇杯4回戦で湘南と対戦した川崎は3-1で逆転勝利。準々決勝へ駒を進めた。

 ヒーローになったのは移籍後初ゴールを決めた齋藤学だ。

 1-1で迎えた54分、後方からの鈴木雄斗のパスを「ファーストタッチは上手くいった」と、走りながら華麗にトラップすると、「相手に追い抜かれそうになったところを手で抑えて」左足を一閃。相手GKに弾かれながらも、気持ちのこもった一発はゴールへと吸い込まれた。
 
 1週間前のリーグ戦の鳥栖戦では、ゴール前での決定的なシュートを外していた。「決めない限りここにいる意味はない。申し訳ない」と肩を落としていた男は、雪辱のチャンスをしっかりモノにし、「自分も嬉しかったが、『学が点を取った』と周りが喜んでくれたのが嬉しかった」と、満面の笑みを見せた。もっともピッチから離れれば、気を引き締める。
 
「これは天皇杯なので、リーグでも取りたいですし、リーグでもっと出られるようにアピールしていくことも大事です。自分が出るよりもチームが勝つことが一番大切ですが、天皇杯はチャンスがあると思い準備してきたので、結果を残せたのは良かったです。
 
 土曜日には次の試合があるので、切り替えたいですし、今日のメンバーが(リーグ戦での)スタメンを追い抜けるように競争していきたい。だから余韻に浸っている暇はないです」
 
 昨年9月には右膝前十字靱帯損傷という大怪我を負い、今年1月には横浜から神奈川のライバルチームの川崎へ移籍。リハビリに励みながら4月には古巣との一戦で戦列復帰を果たした。ただ、その後はなかなか調子が上がらず、ベンチ外となる試合も少なくなかった。酸いも甘いも噛み分けてきた齋藤は、「人生」という言葉を用いてプロとして生き抜くことの厳しさを語る。
 
「上手くいかないことや苦しいこともひとつの人生だと思うし、上手くいってるように見える人でも上手くいっていないことがたくさんあると思う。だから辛いことも、いろんなことも含めてやっていかないといけない。
 
 鳥栖戦の時も(チャンスを)外して、ここにいる意味があるのかなと思ったりしたが、そのなかで次は来るので切り替えた結果がチャンスにつながってくる。しんどい経験をするのもひとつの人生。ただ今日は良かったと言っても1点しか取れなかった。もっと取れそうなシーンもあったので、向上心を持ってやっていきたいです」
 
 久々のフル出場を果たし「膝を含めて90分できたのは大きかった」と口にした齋藤にとって、湘南戦は大きなターニングポイントになるのかもしれない。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

 
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