「めちゃくちゃ楽しかった」CBでJ1デビューの菅原由勢がSBS杯で見せた“本来の姿”

2018年08月20日 安藤隆人

右サイドバックで躍動していた

SBSカップのパラグアイ戦、菅原は右サイドバックで躍動した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[SBSカップ] U-18日本代表1-2U-18パラグアイ代表/8月19日/草薙総合運動場陸上競技場
 
 SBSカップの第3戦・U―18日本代表対U―18パラグアイ代表が行なわれ、日本は優勝が懸かった重要な一戦を1-2で落とし、準優勝に終わった。
 
 悔しい敗戦だったが、菅原由勢が見せた右サイドバックでの躍動は、日本にとってこの試合での大きな収穫のひとつだった。
 
「めちゃくちゃ楽しかったです。(CBと比べて)ゴール前にも行けますし、チャンスメイクも出来るので。久々の感覚で凄く新鮮でした。ちょっと感覚が鈍っているところはあったのですが、多少は自分の良さを出せたと思います」
 
 試合後、菅原は素直な心境をこう話した。彼の本職は右SBにも関わらず、今季は名古屋でJ1の開幕戦からCBとしてプレーし続けていたからだろう。
 
 本職ではないポジションで奮闘し、12節のG大阪戦までスタメンとして出場したが、その後は出番が激減してベンチ外が多くなってしまった。その間にチームは補強をし、新加入選手たちが目覚ましい活躍を見せて現在リーグ戦5連勝と、一気に最下位から14位に浮上して降格圏を抜け出している。
 
 トップチームにおいて菅原は、高校3年生にして早くもプロの厳しさをまざまざと味わっている。だからこそ、この大会でU―18世代だとしても、日本代表として実戦経験を積み、かつ本来のポジションでプレーできる喜びは大きかった。
「Jリーグの試合から遠ざかっていますし、やっぱり練習だけでなく、こういう試合でアピールできる機会は今の自分にとってはすごく貴重。良いチャンスをもらえたと思っているし、ここで活躍をすれば風間監督も見てくれると思う。ここでの活躍が名古屋にもつながると思っていたので、やってやろうという気持ちで臨んでいました」
 
 パラグアイ戦のプレーはまさにこの想いを表現するもので、何度も右サイドでアップダウンを繰り返した。前半33分には右サイドから斜め中央にドリブルで持ち出し、相手が食いついて来た瞬間を見計らって、裏のスペースに抜け出したFWの斉藤光毅に絶妙なスルーパス。同35分にも右サイドからドリブルでカットインし、中央の福岡慎平にくさびのパスを入れ、福岡が左サイドに展開すると、斉藤の折り返しに反応して胸トラップからのシュートを放った。
 
 チャンスメイクにも関わり続けると、0-1で迎えた後半15分、右サイドで斉藤のパスを受けて、ゴール右前のスペースに走り込んで行くFWの宮代大聖の動きを捉えた。昨年のU-17ワールドカップ(インド)のチームメイトである宮代の呼吸に合わせて、絶妙なスルーパスを送り込むと、宮代はGKのニアを打ち抜く一撃を沈めた。「大聖は昔から一緒にやっているので、それをひとつ形として残すことができた」と、パラグアイの守備を完全に崩し切ったゴールを演出した。
 
 後半33分、相手にスルーパスから中央を崩されて失点し、勝利という結果には結びつかなかった。だが、本来のポジションで存在感を示した菅原は、まさに水を得た魚のようだった。
 
「まだまだ課題はありますが、今は本当に試合に出られたことが嬉しいですし、試合勘という面では一歩前進していると思います」
 
 確かな手応えを掴み、名古屋へと戻って行く彼の目には活力が漲っていた。
 
「すぐに天皇杯があるので、そこに向けて全力を尽くす。プロは常に1日1日が勝負だということが風間監督からも学んで来ているので、本当に1日1日無駄の無いようにしたいと思っています」
 
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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