横浜が3バック変更でモデルチェンジへ。電撃加入の久保建英が”ラストピース”になる可能性も

2018年08月16日 藤井雅彦

今夏の補強でCBを増やし、3バック変更への下地は整ったか

名古屋戦の前日に突然、3バックを取り入れたポステコグルー監督。指揮官の目指す新たな横浜の姿が、徐々にベールを脱ぎつつあるのだろうか。 写真:徳原隆元

 [J1リーグ22節]横浜1-2名古屋/8月15日/日産ス

 このタイミングでのシステム変更は、なにを意味するのか。就任してから一貫して4バックを採用してきた横浜のアンジェ・ポステコグルー監督が、名古屋戦前日の練習で初めて3バックで臨むプランを披露した。

 実際に試合でも3バックを採用したが、細かな約束事はなかったという。「フォーメーションは関係ない。やることは変わらない」という台詞は、試合前も試合後も、そして対メディアと対選手でも一切変わらず。現時点で戦術的な意図は明らかにされていない。

 名古屋戦での横浜は、たしかに普段通り自陣からショートパスをつなぐポゼッションサッカーで相手陣内に攻め込んだ。しかし、ルーキーの山田康太が「攻撃のところで共通認識が足りず、手詰まりになるのは相変わらずの課題だった」と振り返ったとおり拙攻に終始し、生まれたゴールは松原健が突き刺した単発のミドルシュートのみ。

 守備に目を移すと、開始4分に相手のロングカウンターから先制点を与えたが、システム変更による功罪よりも、そもそも被カウンターへの備えがされていない性質が原因だろう。その意味では攻撃も守備も、横浜はいつもの横浜のままだった。
 

 それでも、あえてスタートポジションに手を加えたことには必ず意味がある。その理由は今夏の補強と無関係ではなさそうだ。

 3バック採用の可能性について、指揮官は「誰が自分の手の中にいるかにもよる。この(夏の)移籍ウインドー(登録期間)でCBを獲得できれば、いろいろ試せると思った」と話している。保有戦力をいかにして組み合わせ、チームとして最大値を引き出すか。監督に課せられた重要な仕事と言えるだろう。

 7月にドゥシャンが加入し、ウインドー締め切りが迫ったタイミングでパルメイラスからチアゴ・マルチンスを、東京Vから畠中槙之輔といずれもCBが本職の選手を獲得。反対に放出したミロシュ・デゲネク、金井貢史、下平匠とのポジションバランスを考えても、CBの枚数を意図的に増やそうとしているのは明らか。わざわざ獲得した選手をベンチに置いておくのは考えにくく、3バック継続が現実味を帯びてくる。

 システム変更のもうひとつの理由は、サイドアタッカーのパワー不足だろう。昨オフ、マルティノスと齋藤学を放出した穴を埋め切れていない現状がある。今季から加入したユン・イルロクやオリヴィエ・ブマルといった外国籍選手が期待に見合った活躍を見せられず、遠藤渓太や仲川輝人、大津祐樹といった面々も向上の余地を残す。そこで両ウイングバックを高い位置に押し上げ、中盤中央に厚みを持たせる考えが働いても不思議ではない。

 そして、突然発表された久保建英の加入。彼が、指揮官の目指す横浜スタイルのラストピースとなりえるのか。従来の4-3-3ならばウイング、新たな3-4-2-1であれば2シャドーの一角を担うであろう17歳の起用法にも、大きく関係してくるシステム変更だ。

取材・文●藤井雅彦(ジャーナリスト)
 
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