【総体】まさかの初戦敗退を喫した市立船橋。名将・朝岡隆蔵が明かした敗因と冬の選手権に懸ける想い

2018年08月12日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

朝岡監督は敗戦から立ち直るまでに3日必要だったという

0-1で山梨学院に敗戦。1勝も挙げられずにインターハイを去るのは2014年度以来だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 あまりにも早すぎる敗退だった。大会もまだ序盤での出来事だ。
 
 優勝候補として挙げられていた市立船橋(千葉2)は初戦となった2回戦で山梨学院(山梨)と対戦。前半20分に市川大葵(3年)にゴールを許すと、最後まで挽回できずに0-1でまさかの敗戦を喫した。

 近年、夏のインターハイで圧倒的な強さを見せていた市立船橋。2015年度以降、準優勝、優勝、ベスト4と安定した成績を残しており、選手たちのタレント性とチームとしての総合力は高校年代で群を抜いていた。
 
 しかし、今大会は早々に姿を消した。初戦敗退は1回戦をシードされていた2回戦敗退の14年度以来だ。

 今年のチームも例年同様に、優勝候補に挙げられる力を持っていた。守護神の田中悠也(3年)や郡司篤也(3年)が負傷で不在だったが、他チームが羨むような俊英がずらり。U-17日本代表には畑大雅(2年)、井上怜(3年)、橋本柊哉(3年)、大会後に開幕するSBS杯のU-18日本代表に岸本駿朔(3年)、松尾勇佑(3年)が招集された。

 今年度の世代別代表の経験者はインターハイの登録メンバーの17人中5人もいる。これは他のチームを凌駕する数字で、今年も充実の戦力で三重の地に乗り込んできたはずだった。
 
 では、なぜ市立船橋は初戦で涙を飲んだのか。敗退後も大会を視察している朝岡隆蔵監督に、11日の準々決勝後に直撃した。
 
「うちの強みだった両SBの畑と松尾(勇佑)が上手く抑えられた。ゲームの全体を見たら、失点が早かったし、35分ハーフが焦りにも繋がった。後半は3トップをワイドの形にして、ある程度主導権を取れたし、左サイドは良かった。でも、井上を置いた右サイドが上手くいかなかった。チャンスは作ったけどね...」
 
 敗因はシンプルにチームとして歯車が噛み合わなかったから――。指揮官は悔しさを噛み締めるように山梨学院戦を振り返った。

 朝岡監督自身も今回の敗戦はかなりショッキングだったようで、気持ちの整理を付けるまでに3日間が必要だったという。

 サッカーに敗戦は付き物だが、大舞台での敗戦にここまで苦虫を潰したような表情を見せることは過去になかっただけに、今夏の敗戦がいかに重いものだったかが窺える。

次ページ朝岡監督が考え込んだのも、誰よりもチームに期待しているからこそ

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