【総体】ヒントはベルギーの"あのカウンター"から――劇的決勝弾を決めた飯田が示した東山スピリット

2018年08月12日 川端暁彦

福重監督がサッカーで「絶対に許さないポイント」とはなんなのか

東山のスタンスを体現する飯田。最終盤に懸命に駆け上がり、ネットを揺らした。写真:川端暁彦

[インターハイ準々決勝]東山2‐1三浦学苑/8月11日/四日市中央緑地陸

 東山の福重良一監督は、指導するうえで「絶対に許さないポイント」としてこんなことを挙げている。
 
「シュートに対して背中を向けて逃げるようなプレーをしないこと、最後まで諦めずに走ること」
 
 テクニカルなチームだと思われることもある東山だが、根底に流れるのはこの福重イズムだろう。インターハイの準々決勝という大舞台で表現されたのも、まさにこうした部分だった。
 
 三浦学苑を向こうに回した試合は、楽な展開ではなかった。「1点勝負になると思った」(三浦学苑・枝村隼人監督)のは恐らくどちらも同じだったはずで、その1点を最初に奪ったのは三浦学苑。しかも後半28分(35分ハーフ)という時間帯である。

 酷暑の連戦で体力的に消耗していたことと合わせて考えれば、心が折れてもなんら不思議はないシチュエーションだった。だが、東山の選手たちはそこから走った。
 
 10番を背負う役者としての資質を見せつけたのはFW久乘聖亜(3年)だが、東山魂を猛烈に感じさせたのはMF飯田敏基(3年)である。

 序盤からロングボールが行き交う展開となる中で献身的にセカンドボールを回収していた黒子役は、まずは31分に久乘の同点ゴールで起点として機能すると、さらに迎えたアディショナルタイムだった。
 
「自分は田舎のほうから京都に来たので、こういうプレーしかない。守備も攻撃も両方ハードワークして、チームのためになれたらいい」(飯田)
 
 奪い取ったボールを味方に預け、そのまま前進。つながったボールが久乘に渡ると、飯田はそれを追い越すランニングを見せる。

 疲れて足の止まる選手が続出する過酷な状況で、無駄走りに終わる可能性もあった流れだが、「信じて走った」のは、まさに福重監督がこだわってきたことそのもの。久乘が送った心憎いまでのノールックパスから、外せないシュートを流し込んだ。

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