【セルジオ越後】豪州移籍の本田には広告塔としてではなく、選手としての価値を証明してもらいたい

2018年08月10日 サッカーダイジェスト編集部

現地での期待値は高いようだが…

新天地を探していた本田は、オーストラリアのメルボルン・ビクトリーへ加入。好待遇で迎えられた。(C)Getty Images

 メキシコのパチューカを昨シーズン限りで退団し、去就が注目されていた本田がオーストラリアのメルボルン・ビクトリーへ移籍した。
 
 給与制限を受けない「マーキー・プレーヤー」としての加入で、年俸は2億円以上と言われる。現地での人気は高いようだ。ただ、純粋にプレーヤーとしての実力が評価されているのかは疑問だ。
 
 ロシア・ワールドカップでは、セネガル戦で貴重な同点ゴールを奪うなど存在感を見せたが、先発出場はなし。メキシコでも目立った活躍ができたわけではない。メルボルンとしては、日本を含めたアジア市場における広告塔としても期待しているはずだ。
 
 本田自身も最近はクラブ経営など、様々なビジネスに力を入れているし、第2の人生を見据えた選択だったのかもしれない。ただ、現役を続けるならプレーヤーとして意地を見せてもらいたい。選手はメディアの前でアピールするのではなく、ピッチの上で自らの存在価値を証明するもの。彼に求められるのはド派手な格好でメディアにネタを提供することではなく、周囲を納得させる結果だ。
 
 ワールドカップでは3大会連続ゴールを奪って勝負強さを見せた本田だが、海外での挑戦を振り返ってみると、クラブシーンではなかなか結果を残せなかった。

 2008-09シーズンにはオランダのVVVを1部昇格に導いたが、リーグのレベルは高くなく、CSKAモスクワではチャンピオンズ・リーグで直接FKを決めるなどアピール。その後、ミランで10番を勝ち取った。しかしイタリアの名門に加入できたのも、クラブがアジア戦略に力を入れたことが影響したはずだし、現に定位置を確保するまでには至らなかった。
 
 本田がヨーロッパで何を成し遂げたかと聞かれると、具体的な出来事を挙げるのは難しい。中田はローマでセリエAを制したし、中村はセルティックで黄金時代を築いた。このふたりと比べるとやはり見劣りしてしまう。
 
 だからこそ、もう一度プレーヤーとして輝くためには奮起が必要だ。そもそも先日の会見では、オーバーエイジとして2020年の東京五輪を目指したいとの意向を示していたが、それには目に見える結果が必要だ。まさか知名度の高さだけで選んでもらえるとは考えていないよね。
 

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