初のインターハイ女王となった常盤木学園。彼女たちはいかにして頂点へ上り詰めたのか

2018年08月07日 西森彰

強さの秘訣はなでしこチャレンジリーグへの参戦!

悲願の初優勝を飾った常盤木学園。準決勝では劇的な勝利を収めるなど、ここ一番での勝負強さも光った。写真:西森彰

 今年で7回目を迎えたインターハイの女子サッカー競技。開催地となった静岡県の藤枝市も猛烈な暑さに見舞われた。

 今大会は熱中症対策として、前後半それぞれ3分間のクーリングブレイク、そして飲水タイムを実施。さらに大会1日目の状況などを踏まえ、2日目の第2試合はキックオフ時間を12時半から15時へ変更する異例の対応で大会は進められた。
 
 決勝は8月5日に実施。大会最多5回の優勝を誇る前回女王・日ノ本学園(近畿①/兵庫)と、初優勝を目指す常盤木学園(東北①/宮城)が顔を合わせた。

 2012年度のインターハイ第1回大会の決勝でも対戦している両者。女子の高校サッカー界を長きに渡り、牽引してきたチーム同士の一戦を制したのは常盤木学園だった。

 3-0で日ノ本学園を破り、インターハイを初制覇。そして、2012年度の全日本高校女子サッカー選手権以来、6年ぶりとなる日本一に輝いた。
 
 今大会の常盤木学園が組み込まれたのは最激戦区のブロック。同じ山には直近2年の全国大会優勝校が3校(十文字/関東②・関東、藤枝順心/東海①・静岡、日ノ本学園)と、2度のファイナル経験校(作陽/中国・岡山)が同居した。

 どのチームにも決勝のピッチを経験した選手がいる――。だが常盤木学園は、その対戦相手に臆することない舞台慣れができていた。その理由がなでしこチャレンジリーグでの戦いだ。
 
 出場選手の年齢制限なし+45分ハーフのリーグ戦。そうした厳しいレギュレーションの中で常盤木学園は揉まれてきた。昇格を目指す大人のクラブチームに対し、手ごわい門番役として奮戦。

 近年は女子サッカー全体のレベルアップやライバルチームの成長もあり、以前ほど勝点を伸ばせなくなった。「最近は、ウチの卒業生によくやられるね」と阿部由晴監督も苦笑いをするほどだ。だが、それはチーム強化の点では好都合だった。
 
「昨年は一人ひとりの技術が高くて、全国で優勝できるだけのチームだったんです。今年は一人ひとりを見るとそこまでレベルが高くありません。いつも、公式戦では勝てていないんですが、そんな中で練習をたくさん積み重ねてきた結果だと思います」と沖野るせりは言う。

 大人のチームとの戦いで出た課題を消化しながら、チームの完成度は着実に上がっていた。

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