貢献度はイニエスタやF・トーレス以上!長崎の新助っ人、ヨルディ・バイス獲得の舞台裏とその実力に迫る

2018年08月02日 藤原裕久

1対1の強さとクレバーな判断力が特徴。高木監督は「ザ・ディフェンダー」と評価

18節のFCC東京戦で初先発を果たしたJ・バイスは、19節の札幌戦で1ゴール・1アシストの活躍を見せた。写真:徳原隆元

 Jリーグデビュー戦となった18節のFC東京戦を勝利で飾った長崎の新外国籍選手、ヨルディ・バイス。高木琢也監督が「ザ・ディフェンダー」と評したとおり、1対1の強さとクレバーな判断力が特徴で、これまで駆け引きや周囲との連係などで守るタイプが多かった長崎のDFでは異質なタイプのプレーヤーだ。ホームデビュー戦となった19節の札幌戦でも随所に好プレーを披露して得点もあげるなど、その勢いはとどまることがなく、早くもチーム内での地位を不動のものにしつつある。
 
 そんなJ・バイスと長崎の接点はリーグ中断期間中に行なわれたオーストリアキャンプ。中断期間直前の15節終了時点で、リーグ17位の26失点を喫していた長崎は、1対1で勝負できるだけでなく、経験値がありリーダーシップの取れるDFを探していた。
 
 この時、浮上した補強候補者こそが、主力としてシドニーFCでオーストラリアリーグ2連覇を達成後、新たなチャレンジの場を求めていたバイスである。そしてキャンプ最終日のトレーニングマッチにJ・バイスは参加するのだが、当初は同じトレーニングマッチに参加していた別の外国籍選手を評価する声が関係者には多かったという。
 
 だが、監督自身がJ・バイスと話をし、ともにプレーした選手たちの評価も考慮した結果、J・バイスの長崎入りが決定した。長崎との話がまとまらなかった場合は、他クラブへ売り込む可能性もあったというから、長崎にとっては良いタイミングで海外キャンプを行なったからこその補強とも言えるだろう。
 
 J・バイスのリーダーシップは加入直後から発揮された。合流直後のトレーニングから積極的に味方に指示を飛ばして最終ラインを活性化させるだけでなく、ハードな守備と鋭い読み、そしてフェイエノールト仕込みのキックで周囲の信頼を着実に高めていったのだ。
 
 唯一の懸念は、試合勘や連係面だったが、母国オランダのエールディヴィジを皮切りに、ルーマニアのリーガ2、オーストラリアのAリーグを渡り歩いてきた経験は伊達ではなかった。出場か可能となった川崎戦こそ、リスクを考慮してベンチ入りに止まったが、続くFC東京戦では先発で出場。「起用は賭けだった」という高木監督の期待を超えるプレーぶりで勝利に貢献し、一躍DFの中心に躍り出たのである。
 

次ページ真価が問われてくるのはこれからだが…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事