現役イタリア人監督が徹底分析! 日本を切り裂いたデ・ブルイネの最大の長所は?

2018年07月27日 ロベルト・ロッシ

ポスト際を狙うシュート精度の高さも特筆もの。

ケビン・デ・ブルイネ
●所属クラブ:マンチェスター・C
●代表チーム:ベルギー代表
●生年月日:1991年6月28日(27歳)
●身長・体重:181cm・70kg

 繊細なタッチでボールを操り、決定的なパスでチャンスを作り出せば、ドリブルで敵陣を切り崩し、正確なシュートで自らゴールを奪う――。いまや世界最高峰の攻撃的MFと言えるのが、フィリッペ・コウチーニョ(バルセロナ)とケビン・デ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)だ。ふたりのテクニシャンは、それぞれどんな特徴を持っているのか。現役イタリア人監督がそのテクニックを徹底分析する。第2回は、ベルギー代表の一員として出場したロシア・ワールドカップで、日本の前に立ちはだかったデ・ブルイネだ。

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 ケビン・デ・ブルイネは、コウチーニョとは全くタイプの異なるアタッカーだ。コウチーニョが狭いスペースでの局面打開やアシスト、シュートを最大の持ち味としているのに対し、デ・ブルイネはスペースがあるところでの突破、加速、フィニッシュを武器とする。

 コウチーニョがリオネル・メッシやネイマールの系譜に繋がるテクニカルなアタッカーだとすれば、デ・ブルイネはむしろクリスチアーノ・ロナウドやキリアン・エムバペと同様にフィジカル能力の高さで違いを作り出すタイプに属すると言えるだろう。

 テクニックだけを見ればコウチーニョに軍配が上がるかもしれないが、デ・ブルイネも高度なテクニックに際立ったパワーとスピードと兼備しており、タイプが違うだけで絶対的なパフォーマンスという点では甲乙つけ難い。

 ボールタッチやキックの種類は、インサイド、インフロント、インステップ、アウトフロントというベーシックなそれが基本で、トリッキーに足技を使うケースは皆無だ。とはいえ、どのキックを取ってもその精度の高さは際立っており、しかも爆発的な加速でトップスピードに乗っていても、まったくブレることがない。このスピードに乗った状態でのプレー精度の高さは、最大の長所だと言っていいだろう。

 シュート力も大きな武器のひとつ。コウチーニョとは異なり、まっすぐ足を振り抜くインステップのパワフルなシュートが持ち味だ。正確にボールの中心を叩くので、シュートの軌道は直線的だが、しばしば無回転のブレ球になる。射程距離も長く、25メートルを超える距離からミドルシュートを打つことも少なくない。

 ニアかファー、どちらかのポスト際を狙うシュート精度の高さも特筆もの。ブラジルとのワールドカップ準々決勝で、勝負を決定づけたカウンターアタックからのゴールは、面目躍如といったところだ。
 

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