「日本人監督を信じよ」「もう謙遜はいらない」英誌・熟練記者が新生サムライブルーに大胆提言!

2018年07月17日 マイケル・プラストウ

優勝が不可能ではない、そう思えるところにまで来た

日本と世界との差はほぼない、どんな強国とも渡り合える。プラストウ記者はそう太鼓判を押した。(C)Getty Images

 フランス代表による圧巻のフィニッシュだった。
 
 とりわけ攻撃面が際立ち、スピード、テクニック、シュート精度のいずれも最高級で、まさに世界一に相応しいパフォーマンスだ。ノックアウトラウンドではアルゼンチン、ウルグアイ、ベルギー、そしてクロアチアと、ロシア・ワールドカップを彩った強国を次から次へとなぎ倒した。文句なしの戴冠と言っていい。
 
 全人口が415万のクロアチアも称えられて然りだ。キリアン・エムバペは今大会のニュースターとなったが、ルカ・モドリッチが披露した妙技の数々には唸らされるばかりだった。「ゴールデンボール(大会MVP)」の受賞は至極妥当だろう。
 
 名勝負も数多く生まれた。フランス対アルゼンチン戦、ブラジル対ベルギー戦、さらに準決勝のフランス対ベルギー戦などは事実上の決勝戦だったのではないか。勝つほうが優勝すると確信させるほどのクオリティーだった。

 
 そしてもちろん、日本代表の躍進も忘れてはいけない。3位に食い込んだベルギーというチームに対して、好調だったイングランドは今大会で2度に渡って後塵を拝し、王国ブラジルでさえ勝てなかった。日本も最終的には敗れ去ったが、勝利の一歩手前まで行った。イングランドよりはるかに、ベルギーを脅かしたのだ。西野朗監督は世界との差を口にしたが、個人的にはもはや気にするレベルではないと感じた。謙遜はいらない。日本は間違いなくベストチームのひとつだった。
 
 日本は人口1億2700万の大国だ(フランスの倍、ベルギーの12倍)。たしかにフットボール界での歴史は浅く、実績も乏しいかもしれない。それでも実際は、世界のほとんどの国と、互角か互角以上で戦えるようになった。優勝となるとまだ遠く感じるが、不可能な夢ではない、そう思えるところにまで来た。世界のフットボールはどんどん進化しているが、それに対して日本は置き去りにされるどころか、着実に差を埋めてきた。積み重ねてきた弛まぬ努力がいよいよ、日本代表が世界で勝負できるレベルにまで引き上げたのだ。

次ページ日本人監督も海外へと挑戦の場を広げていってほしい

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