エムバペにあって、ネイマールにないもの…「メッシ&C・ロナウドの後継者」は決まりか

2018年07月16日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

重要な試合で重要なゴールを挙げる。

19歳にしてW杯決勝のスコアラーになり、トロフィーを勝ち取ったエムバペ。(C)Getty Images

【ロシアW杯決勝】フランス4-2クロアチア/7月15日/ルジニキ・スタジアム(モスクワ)
 
 試合前のキリアン・エムバペは不敵に笑っていた。入場前の通路でも、整列の時でも。
 
 1998年12月20日生まれの19歳だから、同年にフランスが初めて世界制覇した時には、まだ母親のお腹の中にいたことになる。
 
 そんな新世代の怪童は、初のW杯であのミシェル・プラティニやジネディーヌ・ジダンが纏ったレ・ブルーの10番を背負って躍動。グループリーグ2戦目のペルー戦でW杯における同国史上最年少ゴールを決め、ラウンド・オブ16のアルゼンチン戦では4人抜きでPKを奪い、さらに2ゴールを挙げて勝利の立役者に。準々決勝と準決勝ではゴールに直結する働きこそなかったが、爆発的なスピード、正確なテクニック、そして状況判断の良さと10代とは思えない完成度の高さを見せつけてきた。
 
 周知の通り過去10年のサッカー界は、完全に「リオネル・メッシとクリスチアーノ・ロナウドの時代」だった。しかし、ロシアでこの2大スターは早期敗退し、その後継者の筆頭候補だったネイマールはオーバーリアクションやシミュレーションなどで精神的な未熟さを露呈するばかり。世間の期待は自然と集まった。かくいう自分も「次の世界ナンバー1はエムバペ」という想いが取材を重ねるごとに確信めいていった。
 
 プロキャリアがわずか2年半の19歳には、重たすぎる十字架にも見えた。しかしエムバペは決勝で、その期待にほぼ満点の回答を見せる。対峙したイバン・ストゥリニッチやドマゴイ・ヴィーダを文字通り一瞬で置き去りにし続け、59分には右サイドを切り裂いてポール・ポグバのチーム3点目を演出した。
 
 そして65分には、自らゴールを挙げた。SBのリュカ・エルナンデズが左サイドを突破している隙に、右サイドから中央へ移動。グラウンダ―のパスを足下に止めると、もうワンタッチしてから右足を一閃し、ゴールネットを揺らすのだ。身体が開いたからファーサイドを狙うと思いきや振り抜いてニアサイドに蹴ってきたうえ、ヴィーダのブラインドになっていたこともあり、敵GKダニエル・スバシッチはほとんどお手上げだった。
 
 メッシとC・ロナウドが世界ナンバー1に上り詰める過程で欠かせなかったのが、重要な試合での重要なゴールだった。CLやクラブW杯の決勝、リーガ優勝が懸かったゲームなどで、彼らはいつも印象的な得点を決めてきた。その2大スターが成し遂げられなかったW杯決勝スコアラーに、エムバペは19歳にしてなってしまった。このレコードは17歳だった1958年大会のペレに次いで史上2番目に若いという。スターの星の元に生まれたとしか思えない。
 

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