主力固定で11人での化学反応は起きたが、戦略的な限界がベルギー戦の敗因に【16強、西野ジャパンの評価を問う #7】

2018年07月14日 清水英斗

理想的だった戦術、その一方で…

ベルギー戦では、後半途中から個の力の差を見せつけられた。日本は戦略的な面での限界を露呈した。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 西野ジャパンがロシアでの冒険を終えたタイミングで、サッカーダイジェスト誌ライター陣7名に緊急アンケートを実施。世界の「ベスト16」という結果を残した日本代表への評価、「ベスト8」の壁を超えるためには何が必要なのか、そして次期日本代表監督には日本人が相応しいか? この3点について意見を伺った。
 
――◆――◆――
 
回答者:清水英斗(サッカーライター)
 
Q.西野ジャパンのロシアW杯評価(100点満点中)
A.70点
 
ベスト8には届かなかったが、グループリーグ突破を果たした。選手たちからは火事場の馬鹿力が出ており、4年前のザックジャパンの追試としては、素晴らしい結果だった。
 
 サッカーの内容も、日本代表としての理想的な戦術が垣間見えたが、しかし、一方で戦略的な限界もあった。この短い時間では、主力で固定した11人の化学反応を起こすまでが精一杯。ターンオーバー、交代カード、守備固めといった試合戦略に手が回らず、そこがベルギー戦の敗因になった。
 
 また得点は取れているが、守備の課題が大きい。4試合で結局クリーンシートは1試合もなかった。南アフリカ・ワールドカップとは異なり、前へアグレッシブに出て行くサッカーをやっているため、許容すべき面もあるが、せめて後半に逃げ切りを図る戦術は、別戦略として用意すべき。高さのあるフェライニへの無対策は、非常に残念だった。
 
 極めた主戦術のクオリティと、試合戦略の甘さ。その両方が出た。
 
 
Q.日本が8強入りするために最も必要なことは?
A.GK育成
 
 個の力はどのポジションでもまんべんなく劣っているが、GKは連係でカバーできる範囲が少ない。川島永嗣が日本人最高のGKであることに疑いはないが、個の力で他国GKとの差があり、これを埋める育成が必要だ。
 
Q.ロシア後の監督も日本人にするべきか?
A.NO
 
 必要とする人材が日本にいなければ、海外にも広げた方が良い。監督ではなく、GKコーチや分析スタッフに外国人を登用するのも面白い。今の日本をまとめるだけでなく、レベルアップの道筋をつけるべきだ。
 
※『サッカーダイジェスト』7月26日号(7月12日発売)より転載。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事