J1後半戦へのビジョン|G大阪編|生え抜きコンビの奮闘が浮上への鍵を握る

2014年06月30日 高村美砂

リーグ1を誇った得点数が大幅に減少した理由とは?

14節終了時点で16位と大きく出遅れてしまったG大阪。巻き返しへのポイントは攻撃力の復活にある。 (C) SOCCER DIGEST

 予定していたインドネシア遠征が現地の大統領選挙の関係で急遽、延期となり、J-GREEN堺で4日間、岡山・美作で5日間というミニキャンプを張った。この二度のキャンプでの共通テーマが「攻守におけるクオリティーの追求」だった。
 
 前半戦の成績を受け、長谷川健太監督は「得失点数を見てのとおり、失点は減らさなければいけないし、得点は増やさなければいけない」と危機感を募らせている。16位(勝点15)という成績はもとより、失点(19)が得点(14)を大きく上回っている状況は、明らかに攻守のバランスの悪さを物語っている。
 
 とりわけ、攻撃サッカーをチーム哲学とするG大阪にとって、得点の少なさは看過できない問題だ。前半戦の14試合を終えて、1試合あたりの平均得点数はわずかに1。昨年のJ2リーグでは1試合平均2.25ゴール(44試合で99得点)をマークし、降格した一昨年のJ1リーグでも1試合平均1.97ゴール(34試合で67得点)を挙げている。過去2シーズンはいずれも、そのリーグで最多得点を叩き出してきたチームとしては、明らかに物足りない数字だ。
 
 もちろん、それだけの得点を奪ってもJ2降格という現実を突きつけられた2012年シーズンを振り返れば、単純に持ち前の攻撃力に頼ったサッカーでは勝ち切れなくなっているのは明らか。長谷川監督が昨年から植え付けようとしている守備の意識や柔軟性のある戦い方を考えれば、過去のJ1リーグで示してきた圧倒的な得点力にかげりが見えるのも無理はない。
 
 しかし、現有戦力の個性を踏まえればこそ、本来の攻撃力を生かす戦い方が浮上のきっかけになる可能性は高い。特に前半戦の終盤、5月に入った頃からエースの宇佐美貴史のスタメン復帰とともに、攻撃には本来の輝きが見え始め、12節の徳島戦(3-0)、13節の名古屋戦(2-1)で今シーズン初の連勝を記録。そうしたチームの変化を考えても、攻撃力が再開後の巻き返しのカギを握るはずだ。

次ページ宇佐美と倉田の生え抜きコンビが攻撃サッカーを甦らせる。

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