「過去最強のベストチームだった」英誌・熟練記者が日本代表の熱闘に感動!【ロシアW杯】

2018年07月04日 マイケル・プラストウ

すべての選手が、称えられて然りだ。

先制点を決めた原口をベンチメンバーが総出で祝福する。西野ジャパンの一体感を如実に物語るショットだ。(C)Getty Images

 最後の最後で力尽きた。本当に惜しかった。
 
 こんなとき、日本代表の選手たちやスタッフになんと声を掛ければいいのだろう。「良くやった」とか「おめでとう」などとは言われたくないはずだ。彼らは最後の瞬間まで勝利を信じて戦い抜いたのだから。当然ながら、敗者となって母国に戻る。記録上も世界の人びとの記憶のなかでも、もはや「大会を去ったチーム」でしかない。数字で見ても、かなり平凡だ。1勝1分け2敗。悔しさがこみ上げているだろう。
 
 なんにせよ、今回の日本代表は素晴らしかった、その一語に尽きる。史上最強のベストチームだったに違いない。強国ベルギーを向こうに回しても一歩も引かず、勝敗を分けたのはほんのわずかな差だった。日本はラウンド・オブ16にさえ相応しくないチームだと、多くのひとに思われていたが、とんでもない話だ。彼らは世界中のファンに小さくない感動を与えたのである。ベルギー戦などは語り継がれるべき名勝負だ。確かにポーランド戦で時間稼ぎをした振る舞いは物議を醸したが、見事にリスペクトも取り戻した。


 
 今大会前、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が電撃解任された。その際、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「1%でも2%でも勝つ可能性を求めるための結論」と語ったが、それが英断だったと認めるほかない。この結果とインパクトを踏まえれば、20%とでも30%とでも、余裕しゃくしゃくで話してもよかっただろう。

 西野朗監督はこの短期間で、どんな人材を活用すれば上手くチームが機能するのかをしっかり見極め、攻撃でも守備でも質の高い組織を作り上げた。守備における互いのカバーリングとブロック、中盤の素早いコンビネーションとチャレンジ、積極的に縦にクサビを打ち込み、交代カードの切り方も的を得ていたのだ。
 
 とりわけ効果てきめんだったのは、柴崎岳と乾貴士のレギュラー固定で、ほかにも香川真司、大迫勇也、酒井宏樹、長友佑都、吉田麻也と個が光り輝いた。GKの川島永嗣は最初の2試合でミスを連発して苦境に立たされたが、ポーランド戦とベルギー戦では存在を示したと言える。攻撃は左サイドにやや偏っていたものの、ベルギー戦ではそれまで地味ながら気の利いたプレーを見せていた右サイドの原口元気にも、ビーティフルゴールが飛び出した。すべての選手が、称えられて然りだ。

次ページ理由は簡単。ベルギーが強すぎたのだ

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