絶対に勝ったと思った。

　先に２点を取って勢いもあったし、それでも気持ちが引けてるわけではなく、全員で守りに入っているわけでもなかった。ギリギリの選択の中で、流れの中から３点目を奪う可能性だって十分にあり得た。

　あと１点、トドメを刺すことができれば……。結果的にはそこなのかな。

　いい形でゲームに入れて、常に攻める気持ちを持ちながら、それでも守るところはしっかり守って、前半の失点をゼロに抑えた。その流れの中で、原口の１点目が入った。だからもう、流れ的には完全に日本だったんだ。

　２点目を奪ったあとのゲームの進め方がまずかったのか。ただ、どうまずかったかを考えたとき、一概に守備的に戦えばよかったとも、セーフティーにプレーすればよかったとも、強引にダメ押しを狙いにいくべきだったとも言い切れない。難しいところだよね。
 

　でも、こんなストーリーは、映画でも小説でもなかなかないよ。ベルギーからすれば感動的で、日本にとっては天国から地獄っていう。きっとベルギーも日本も、勝つために死ぬ気で戦って、ベストを尽くした結果がこういうストーリーを生んだんだろう。

　日本は今回、その中の負け側に入ったわけだけど、やっぱりベスト８に到達できない確かな壁が、そこには存在していたようにも思う。これからの日本サッカー界はそのことを心に留めて、強化に取り組んでいかなければいけないだろうね。

　選手たち、西野監督、それからコーチングスタッフ、すべての関係者には「お疲れさま」と言いたい。これだけ日本中を熱狂させ、日本代表のファンを増やしてくれたのだからね。

　でも、やっぱり悔しさは残る。先に２点取って、一度は「ベスト８」が見えたし、ブラジルと対戦することまでイメージできた。いまのチームで戦わせてあげたかったよ、ブラジルと。いまだったら、今日のメキシコよりはいい勝負ができたんじゃないかな。

　ただ、同時にこうも考えてしまう。「他の国だったら、先に２点を奪うことができたとき、はたして逆転されていただろうか」とね。悔しいけど、まだ世界の８強に入るには足りない部分があることを認めなきゃいけない。