エムバペ熱がフランス全土を席巻! ヴェンゲルも「ビッグじゃない。超ビッグだ」と興奮!

2018年07月01日 結城麻里

高級住宅街のカフェでさえ狂ったように

フランス国民を熱狂させたエムバペ。“手裏剣”はウルグアイ戦でも飛び出すのか。(C)REUTERS/AFLO

「マニフィック(素晴らしい)! マニフィック! マニフィック、キリアン!」
 
 何度も何度もこう叫んだ。アルゼンチンvsフランス戦を最大民放局『TF1』で実況解説した1998年大会の優勝メンバー、ビセンテ・リザラズである。
 
 まずは13分、自陣から"手裏剣"のごとくキリアン・エムバペが飛び出し、アントワーヌ・グリエーズマンの先制PKを導いた。さらにその5分後にも大胆な仕掛けを披露すると、リザラズは「アルゼンチン選手はまったく誰も追いつけません!」と大興奮。「そもそもエムバペのマークをアンヘル・ディ・マリアが担当しているんですから、どうしたって無理がありますよね」と語った。
 
 その途端にディ・マリアがゴールし、次いで逆転までされてしまうのだが、レ・ブルー(フランス代表の愛称)の再逆転劇の主役を張ったのは、またしてもエムバペだった。64分、まさしく忍者のような早業で逆転ゴールを決めると、この瞬間を待ちに待っていたフランス人たちが全国で狂喜乱舞した。

 
 パリのすました高級住宅街のカフェでさえ、人びとは狂ったように抱き合い、「エノールム(どでかい)! エノールム、エムバペ!」と絶叫。しかもその4分後にまたエムバペが華麗な一撃を見舞い、2ゴール目を突き刺したのだからタマらない。普段は静かな我が家のご近所一帯からも、凄まじい歓喜の絶叫が響き渡った。
 
 試合後、喜びを分かち合うレ・ブルーを眺めながらリザラズは、「マニフィック、エムバペ! 一時期はアルゼンチンの経験が勝るかとも思いましたが、恐れを知らぬ若者たちが勝利を掴んでくれました」と話し、感動しているようだった。
 
 一方、やはり中継局の『beIN SPORT』のスタジオでは、前アーセナル監督のアーセン・ヴェンゲルが「エムバペはビッグプレーヤーなんかじゃない。超ビッグプレーヤーだ」と絶賛。現地で実況解説を担当した元フランス代表、ダニエル・ブラボーは、「キリアンはやがてバロンドールになる」と断言した。
 
 さて、肝心のエムバペ本人はと言うと――。実は大会直前にこんなことがあった。
 

次ページ「ドナテロ、おめえ、スピードあるな」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事