【フランス4-3アルゼンチン|採点・寸評】 1998年大会のオーウェンを想起させたエムバペの衝撃。文句なしのMOMに!

2018年07月01日 内藤秀明・井川洋一

フランス――前回準優勝国とのシーソーゲーゲームを制す。

(C)SOCCER DIGEST

[ロシアW杯決勝トーナメント1回戦]フランス4-3アルゼンチン/6月30日/カザン・アレーナ(カザン)

【フランス|採点・寸評】
チーム 7

それぞれが高い個人能力を発揮し、壮絶な撃ち合いを制した。ポゼッションは41%だったが、そこにはこだわらず、しっかりと守備を固めてボールを奪ったあとは2種類のカウンターを仕掛けた。ひとつのロングフィードを裏に通す形で先制点につなげ、2点目以降の3ゴールはクリスプな連携で複数のパスをつなぎ、ゴールを陥れた。メッシの存在を気にしすぎてか、ディ・マリアをフリーにして同点とされ、その後はメッシのお膳立てで2失点。最後はヒヤヒヤさせられたが、若いチームは前回準優勝国とのシーソーゲーゲームを制す強い精神力も見せた。

[GK]
1 ユーゴ・ロリス 5.5

ディ・マリアのミドルが見事なシュートだったのは間違いないが、主将でGKならば、味方を動かしてあそこまでフリーにさせるべきではなかった。メッシからメルカドの2失点目と、メッシの完璧なフィードをアグエロに頭で合わされた3失点目はノーチャンスか。

[DF]
2 バンジャマン・パバール 7

序盤は内に絞ったカバーリングで際どいクロスをカットするなど、守備面の貢献が光った。得点後に動きの良くなったディ・マリアに手を焼きだし、逆転されたシーンでは取り残されてオンサイドの原因を作ったが、10分と経たないうちに圧巻のボレーでミスを帳消しに。

4 ラファエル・ヴァランヌ 6
執拗なマークで際どいシーンにも落ち着いて対処し、攻撃の際には強い縦パスを入れた。全体的に印象は薄かったが、チームでもっとも冷静な選手は、終盤のもみ合いのシーンではチームメイトをなだめたる役回りも。

5 サミュエル・ウンティティ 5.5
メッシが最前線にいる時は、バルサでのチームメイトであるこの24歳が激しく身体をぶつけた。ややラフに見えるチャレンジも散見され、ボックス内ではハンドに見える場面もあったが脇を締めてお咎めなし。

21 リュカ・エルナンデズ 6.5
ハードなディフェンスとタイミングの良いオーバーラップ。早くてしつこい寄せで対面のパボンを封じると、好機には迫力ある攻め上がりで縦に抜け、パバールのゴールをお膳立てした。勇敢なスライディングも好印象。
 
[MF]
13 エヌゴロ・カンテ 7

無尽蔵のスタミナと群を抜く守備力。中盤で主にメッシのマークを担当し、相手のエースから自由を奪った。執拗なチェイスでボールを奪うと、シンプルかつ正確なパスでしっかり繋ぎ、エムバペが決めたチームの4点目にも絡んだ。

6 ポール・ポグバ 7
中盤の低い位置でたくましい守備と規律ある振る舞いを見せ、ボールを持てば、高精度のフィードや抜群のキープ力、ストライドの大きなドリブルを披露。独特の間合いで相手を外し、遠くを見渡すビジョンと精緻なキックで大きな展開も。

14 ブレーズ・マテュイディ 6.5(75分OUT)
並びでは左のサイドMFながら、守備を重視してカンテとともにメッシのマークを担った。引いた位置取りでSBのリュカにスペースを提供し、そこへのスルーパスから同点ゴールは生まれた。確かな技術でつなぎ役としても有能。
 

次ページフランス――チームに強固な結束を生み出した指揮官。

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