「申し訳ない気持ちはある。ただ…」。長友佑都がサポーターに訴えかけた“魂のメッセージ”

2018年06月30日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「嬉しい気持ちだけではない、なんか違う感情もやっぱりあったりして」

ベルギー戦に向けて抱負を語った長友。 写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 長友佑都はベルギーとの一戦を前にワクワクしているという。
 
「南アフリカの時もベスト16に行きましたが、すごい心境が全然違くて、まったく怖さがないんですよね。恐怖というか、不安というか、そういうものがなぜか全然なくて、むしろワクワクしている。南アフリカの時はやっぱり不安や怖さもあったりとか、プレッシャーがかかればかかるほどそういう不安とかってものは出てくるものですが、今回はちょっと違う。とにかく自分たちの力を信じているし、絶対にいけるという強い気持ちがありますね」
 
 ポーランドに敗れて、逆に気持ちは引き締まった。
 
「もしポーランドに良い形で勝っていたら、たぶん自信が少し過信に変わっていたんじゃないかと。やっぱり甘くないよと、自分たちの実力はそんな世界ではまだまだ甘くないよというのを教えられた気がするんですよね。もちろん、勝って決勝トーナメントを決めたかったですけど、負けたことによって自分たちの身がもう一度引き締まったというか、より一層緊張感がありますね」
 
 ただ、身が引き締まった一方で、どこか引っかかっている部分もある。ベスト16進出を決めたにも関わらず、素直に喜べない自分がいた。
 
「なんか、やっぱりね……。(ポーランド戦の)最後の10分間でしたかね。嬉しい気持ちだけではない、なんか違う感情もやっぱりあったりして。なんかやっぱりプロのサッカー選手として観ているサポーターの皆さんや応援してくださる人にもどかしい想いをさせてしまったということに対して、申し訳ない気持ちはある」
 
 「最後の10分間」とは、0-1の敗戦を受け入れての時間稼ぎを指す。ヴォルゴグラード・アレーナの観衆は、試合終盤に消極的なプレーに終始した日本に特大のブーイングを浴びせたのである。「ただ」、と長友は言う。
 
「僕らがブラジル・ワールドカップで負けて、あれだけ悔しい思いをしてきて、この4年間どれだけこのロシア・ワールドカップに懸けてきたか。少しでも良い結果を出すためにどれだけのエネルギーを懸けて、どれだけの覚悟でここまで来たかというのを少しだけでも理解していただいたら嬉しいなと」
 
 だから、長友はどんな批判にも立ち向かう覚悟だ。
 
「この状況だからこそ、その批判を全部吹っ飛ばしたいという気持ちがやっぱり強いですね。世界からいろいろ批判もあったかもしれないですけど、日本からもそうだし。その批判を全て吹っ飛ばしたいという強い気持ちが選手みんなにあると思います。ベルギー戦で結果を残して見返すぞという強い気持ちはありますね」
 
 国内合宿からワールドカップへと続くこの活動中、長友佑都の言葉はいちいちグッとくる。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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