ベルギーの「強み」と「弱み」。日本はどう戦うべきか?

2018年06月29日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

カウンターの破壊力は今大会随一だ。

グループリーグを3戦全勝で突破したベルギー。(C)Getty Images

 ロシアW杯で何とかグループリーグを勝ち上がった日本代表は、7月2日のラウンド・オブ16でベルギー代表と対戦する。
 
 ベルギーはグループGを3戦全勝で首位突破。パナマから3点、チュニジアから5点を奪って大勝し、控え主体だった6月28日のイングランド戦も1-0でモノにしている。
 
 基本的には個人能力に頼ったチームであり、最大の長所はその圧倒的な個のクオリティー。守備陣はティボー・クルトワやトビー・アルデルワイレルド、中盤はケビン・デ・ブルイネやアクセル・ヴィツェル、前線はエデン・アザールやドリース・メルテンス、ロメル・ルカクと全セクションに複数のワールドクラスを擁し、3-4-2-1システムの中でそれぞれが持ち味を発揮する。タレント不足を組織力でカバーする日本とは、ある意味で真逆のチームと言っていいだろう。
 
 今大会は縦志向の強いスタイルが際立っており、ロング、ミドル、ショートと多彩なカウンターの破壊力はおそらく大会随一。デ・ブルイネのラストパスから前線3人(アザール、メルテンス、ルカク)の個人技で、あっという間にフィニッシュに持っていき、ゴールを奪ってしまう。5ゴールを奪ったチュニジア戦も、チャンスの大半が速攻からだった。
 
 日本としてはまず、カウンターの起点である司令塔デ・ブルイネを封じたいところ。ただ、今や世界屈指のMFの一人であるこの天才には、例えば柴崎岳と長谷部誠の2人掛かりでも簡単にいなされてしまう可能性が小さくない。よって前線からハイプレスを仕掛け、そもそもこの背番号7にボールを極力入れさせない形にもっていくのがベストだろう。デ・ブルイネのタッチ数が減れば効果的なパスが前線に入らなくなり、前線の3人も生きなくなってくる。
 
 ちなみに、最終ラインのアルデルワイレルドとヤン・ヴェルトンゲンはロングフィードが正確なだけに、ハイプレスはそれを封じる意味でも肝要になりそうだ。
 
 4年前はアルジェリア、ロシア、韓国に辛勝するのがやっとだったベルギーだが、最近は欧州予選10試合で43得点・6失点(9勝1分け)、今大会もパナマとチュニジアから計8ゴールと格下相手でもきっちり捻じ伏せる力強さが備わっている。デ・ブルイネ封じに成功しなければ、日本もその二の舞になりかねない。
 

次ページベルギーの弱点は守備の局面にあり。

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