【藤田俊哉の目】本番の舞台で取り戻した“自信”。決勝T以降を見据えて復調を願うのは…

2018年06月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

日本は1ポイント以上に、大きな収穫を手にしたように思える

ハリルジャパン時代の日本代表は、世界レベルの相手から勝利どころかゴールも難しかったが、今大会では自信を取り戻せている。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 グループリーグ第2戦、日本はセネガル相手に二度リードされながらも二度追いついた。この日はテレビ解説の仕事で現地観戦したが、その堂々とした日本代表の戦いぶりに心を奪われた。"日本劣勢"との下馬評とは裏腹に、あれだけの高い身体能力に規律を持ち合わせたセネガルに対し、日本は互角に渡り合ったのだから。

 2対2のドローに終わったものの、内容的にはむしろ日本のほうが上だった。粘り強いディフェンスと運動量をもって、もっとも警戒していたセネガルの高速カウンターのチャンスを消しながら、一方で、背後のスペースをうまく突いて相手よりも多くの決定的チャンスを作り出していた。ボクシングだったら判定勝ちで日本が勝利していたことだろう。

 ターニングポイントは乾の同点ゴールだ。川島のミスによって失点して先制点を奪われた。直近の親善試合を見ても明らかなように、先制されると日本は勝つのが難しい。だからこそ、この日も絶対に失点したくなかったが、アンラッキーな形でセネガルに先制点を献上し、チーム内に嫌な空気が流れた。そのムードを一蹴したのが、乾の狙い澄ましたシュートだった。これで完全に息を吹き返した日本はその後、なにかが吹っ切れたかのように、最後まで勇敢に戦い抜いた。60分代に訪れた日本の時間帯で、乾か大迫のどちらかの決定機が決まっていれば、おそらく逆転勝利していたはずだ。

 セネガル戦の90分間を終えて、日本は1ポイント以上に、大きな収穫を手にしたように思える。それはチームとしての"自信"である。
 
 試合後、西野監督が話していたように、セネガル戦の采配はとても強気で、攻撃的選手の投入にすべてのカードを切った。繰り返しになるが、最後まで勝点3を奪いにいく姿勢に、私自身、心を奪われた。ズバ抜けた身体能力を持つ相手に、受け身ではなく自らアクションを仕掛けていく姿勢を崩さない――。

 西野監督の采配によるメッセージとともに、選手たちは二度のリードを奪われてもセネガルゴールを目指し続けたことの意義は、チームにとって大きい。ワールドカップで戦う相手はすべてツワモノ揃いなのだ。この一戦を通して、いかなる相手にも勇敢に戦うことの重要性を、改めて私たちに教えてくれた。
 

次ページこの勢いと自信をもってすれば、おそらく日本はこのまま首位通過するはずだ

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