長谷部誠が明かした"オフサイドトラップ"の真相「監督が2試合目は絶対にかけろと言っていた」

2018年06月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

巧みな駆け引きで"罠"にハメた長谷部は「あの1本が成功したことによって…」

長谷部は指揮官からの強いリクエストがあったと明かした。(C)Getty Images

 完全に意表を突いた。日本代表が2度のリードを許しながら2―2で引き分けたセネガル戦。1―1の前半45分に自陣深く右サイドで与えた直接FKのピンチで、青いユニホームが仕掛けた。

 キックの瞬間に最終ラインを形成していた吉田、昌子、酒井宏、長谷部、柴崎、乾、大迫、原口の8選手が一斉に縦方向に移動。一瞬にしてセネガルの5選手をゴール前に置き去りにした。鮮やかなオフサイドトラップ。滅多にお目にかかれない光景だった。
 
 一夜明けた25日、ベースキャンプ地カザンで行なわれた練習後の取材エリア。長谷部主将が一連のプレーの真相を明かした。

「あれは、ここ(ベースキャンプ地カザン)に入って最初からやろうという話をしていた。初戦(19日コロンビア戦)もやろうとしたが、中(ピッチ内)でやろうという選手と、やめたほうが良いという選手がいたので、止めた。でも監督はその時もやってほしかったらしく『2試合目は絶対に(オフサイドトラップを)かけろ』と言っていました」

 香川と長友はラインを上げた8選手と入れ替わるように自陣ゴール方向へダッシュし、万一の失敗に備えたカバーに入っている。連日の非公開練習で入念に確認していた巧妙な"罠"だった。
 
 単にオフサイドを取ろうとしたわけではない。長谷部が続ける。

「一番最初(のFK)にやると決めていた。あれは相手との駆け引きの意味合いが強い。あの1本が成功したことによって、相手は"また何かやってくるんじゃないか"となる。その部分ですね」

 相手のFIFAランクは日本の61位を上回る27位。格上との一戦で心理的に優位に立つ狙いがあった。
 
 痛快なプレーに対する注目度は高かった。日本のネット上では大きな話題を集め、ツイッターのトレンドワードで上位にランクイン。アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』紙から「日本は5人のセネガル攻撃陣を残して、美しいオフサイドトラップを仕掛けた」と絶賛されるなど海外メディアからも高い評価を受けた。
 

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