【日本代表】奇跡などではない勝点4。ザックジャパンとの決定的な違いは?【ロシアW杯】

2018年06月26日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

今の日本にはいわゆる“勢い”がある

今の日本には確かな勢いが感じられる。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 奇跡なんてものは短期間に二度も起こらない。だから、コロンビアに2-1と競り勝ち、セネガルに1-1と引き分けた今大会の日本の実力はそれなりと見るべきだろう。
 
 確かにコロンビア戦は開始3分のレッドカードに助けられた部分は大きい。相手が10人でなければ勝てなかったと、そんな見方もできる。ただ、どんな形であれ、このコロンビア戦で勝点3を獲得できたのは大きかった。
 
"ワールドカップでの1勝"というとてつもない自信がチームに伝染し、自然とチームの雰囲気も明るくなっていった。実際、香川真司も初戦を終えた段階で「4年前とはムードが違う」というニュアンスの発言をしていた。
 
 この雰囲気というものがワールドカップのような短期決戦では重要だ。言い換えれば、それは勢いになる。3週間前のスイス戦ではまったく機能していなかったチームが嘘のように、ひとつの集合体としてまとまり、セネガル戦では二度もリードされながら追いついた。雰囲気的な良さは大迫勇也も感じているようだ。
 
「途中から入る選手、最初から入る選手、すごく皆が良い状態でプレーしている。距離感もすごく良いし、雰囲気的にも良い」
 
 ここまでの戦いぶりを観るかぎり、この4年間で培ったものが随所に見られている。例えば球際の強さ、相手の出方によって戦い方を変える柔軟性などがそうだ。「自分たちのスタイル」にこだわった4年前のブラジル・ワールドカップと違って、現代表は相手ありきのサッカーをそれなりに実践できている。ザックジャパンとの決定的な違いがあるとすれば、「相手ありき」の思考があるか否かではないか。
 
 4年前のブラジル・ワールドカップでは柔軟性を欠いていた。コートジボワールとの初戦ではディディエ・ドログバを投入されてから中盤がパニックを起こし、続くギリシャ戦は10人の相手に拙攻を繰り返すばかり……。

 そして3戦目のコロンビア戦は1-1で前半を折り返しながら、後半から登場したハメス・ロドリゲスにいいようにやられてしまった。相手の選手交代、戦術にまったく対応できず、ほとんど良いところなくグループリーグ敗退を余儀なくされたのがザックジャパンだった。
 
 それに比べれば、今の日本代表は頼もしい。同点に追いつかれても突き放し、リードを奪われてもゴールを奪い返す。こういう粘り強いチームは、相手からしたら結構厄介なのである。システムや戦術では測れない強さが西野ジャパンにはある。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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