本当にミスが少ない。イラン戦でも魅了したイニエスタの凄み

2018年06月21日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

芸術的なドリブルからのスルーパスで決勝弾を演出

写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 試合前のウォーミングアップでは、ダビド・シルバ、セルヒオ・ブスケッツ、ジエゴ・コスタとリラックスしながらパス回しをしていたアンドレス・イニエスタ。ポルトガルとのグループリーグ初戦に続き、6月20日のイラン戦でもスタメン出場した稀代のテクニシャンは、開始13秒でファーストタッチをすると、その20秒後に2タッチ目と立ち上がりからボールに絡んでいく。
 
 この日、4-1-2-3システムの左インサイドハーフを担ったイニエスタは前半4分、左サイドバックのジョルディ・アルバと軽快なパス回しでイラン陣内に迫り、13分には右サイドにサイドチェンジするなど長短を織り交ぜたパスワークを披露した。
 
 パスのもらい方がとにかく巧みで、判断スピードも申し分ない。実際、イニエスタはボールをキープしても相手にあまり触れられていないのだ。間合いを詰められる前にダイレクトで叩いたり、敵の重心をずらすドリブルでひょいっと交わしたり、そのセンスがとにかくずば抜けているのだ。
 
 前半は味方から約50本のパスを受け、そこからミスしたのは5回程度。守備面での貢献は期待できないものの、仕掛け/崩しの局面での存在感はやはり抜群だ。イラン戦の最大のハイライトは、54分。芸術的なドリブルからのスルーパスで、D・コスタの決勝ゴールをアシストしたシーンだ。ここぞという場面での決定的な仕事は、熟練の成せる業かもしれない。
 
 65分過ぎにも後方からのパスを絶妙なトラップ→ドリブルでチャンスを演出しそうになったイニエスタは結局、71分までプレー(スペインは1-0で勝利)。トータルでおよそ80本のパスを受け、そのうちのミスは数える程度と、まさに精密機械と言えるパフォーマンスを見せた。
 
 たとえフィジカル的な部分が衰えたとしても、技術は一向に錆びつかない。34歳になった今も、イニエスタは"フットボールの教材"になれるプレーヤーだ。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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