育成の現場から/サッカースクール紹介 第2回 NPO法人日本スポーツ夢クラブ(センアーノ神戸) produced by スポキャリ&プレグラ

2018年06月25日 PR

「トップダウンではなく、子どもたちの考えや意見を大事にしています」

将来の夢はサッカー選手! 子どもたちのなりたい職業の上位に、サッカー選手がランキングされるようになって久しいが、いまもその人気は衰えておらず、都心を中心にサッカースクールの数は増え続けている。その指導スタイルやメソッドはさまざまあるが、目指すところは一緒で、選手として、人として成長させてあげたい、という思いだろう。指導者(運営者)はそのために、どんなことを考え、どんなことを実践しているのだろうか? そして求められる人材は? 現場の方たちのインタビューを通して探っていく。
 
●センアーノ神戸はどんなクラブですか?

「クラブ理念として、『健全な青少年の育成』、『明るく楽しい地域活動』の2つを掲げ、これを達成させるためにNPO法人として県の認可を受けて活動しています。この地域の子どもたちが大人になっていく中で、サッカーを通じていろんな経験をさせてあげたいと思っています。仲間と一緒に努力していくことはもちろん、壁にぶつかったり、負けてしまったり、ストレスを感じてしまったり、ネガティブな経験も含めてです」

●指導する上で、こだわっていることは?

「AチームもBチームもCチームも、試合数が同じところ。Aチームだけ試合数が多いところもありますが、うちは全部一緒です。ここだけは絶対にぶれないように活動しています。BチームもCチームも公式戦に参加しますし、全日本少年サッカー大会にも全員が参加しました。
 
 あとは、選手自身に考えさせることですね。トップダウンの育成に限界を感じていて、子どもたちの考え、発信、意見を大事にしていきたいと考えています。例えば、A、B、Cチームに分ける際にも、監督やコーチではなく、自分たちで、どのチームに入りたいか決めさせています。エントリー数を超えた場合は、選手投票を行ないます。そうすると、おもしろいことに、チームために動くとか、声をかけるとか、運動能力や技術面以外のところにも目が向くようになります。こういった経験は、将来大人になったときに役立ってくれると思います」

●サッカー以外の人間育成の部分で、特別行なっていることはありますか?

「さきほどお話した『考えさせる』に通じることですが、全員にリーダーを持たせています。リーダーといっても自分が動くのではなく、人に動いてもらう事が大切です。戦術リーダーは、チームの戦い方を決めるために皆から意見を集めます。スカウティングリーダーも、皆から情報を集めます。その他、備品のリーダーだったり、挨拶のリーダーだったり、全員に何かの役割があります。人に伝える、動いてもらう、そのために何が必要なのか、をつねに考えさせるようにしています」

●どこか会社みたいな考え方ですね?

「模擬社会体験ですね。このリーダー制もPDCAサイクルを意識させています」

●そういった考え方、仕組みは何を参考にされているんですか?

「安芸南高校の畑喜美夫先生ですかね。直接お会いしたことはないんですが、先生の出されている本を読んだり、FBでつながったりして、勝手に勉強しています(笑)。それから、滝川第二高校の黒田先生だったり、昌子力さんだったり、色んな指導者のお話を参考にしています」

●小学生の年代にとって「考えること」は難しいことだと思うのですが?

「小学生は小学生レベルでいいし、徐々にできるようになればいい。難しいかなと感じる時期もありましたが、2年前に日本一になったことで、そのやり方は間違いではなかったと実感しました。最終的には決勝戦の戦い方も、ベンチメンバーも自分たちで決めたんですよ」

●やはり日本一がいちばんの思い出ですか?

「もちろん、うれしかったのですが、もっとうれしいことがありました。いまOBの子が、たくさん教えに来てくれているんです。クラブ理念の中に『故郷』というキーワードがあり、ずっと意識させてきましたから、ここで育った子たちが、後輩たちを教えている姿にはグッとくるものがありました。これ以上の結果はないですね」

次ページ「保護者の方も、スタッフも、子どもたちも、一緒に成長していく。そんなクラブを目指しています」

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