「もはや強豪の一角!」「勇敢なる戦士たち」“最小国”アイスランドの組織美を世界が大絶賛!

2018年06月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

すべてを掌握する指揮官と黄金世代が

守備一辺倒ではなく、大国アルゼンチンと堂々渡り合ったアイスランド。自信に満ち溢れたプレーは、とても初出場とは思えない。(C)Getty Images

 人口34万人のアイスランドは、ワールドカップ史上もっとも"小さな国"だ。しかし土曜日のグループD・第1節、アルゼンチンとの一戦ではものの見事にゲームプランをはめ込み、サッカー大国を相手に一歩も引かなかった。彼らにとっては勝ちに等しい1-1ドローだ。
 
 シュート数が9本対26本、ポゼッションが28%対72%、パス成功率にいたっては67%対91%と圧倒された。とはいえアイスランドの選手たちにしてみれば、「So What(だからなに)?」といったところだろう。
 
 ひたすら守り通したわけではない。19分にセルヒオ・アグエロのゴラッソで先制され、その4分後にアルフレッド・フィンボガソンが同点としてからも、つねに手数を出し続けた。世界中から賛辞の声が上がっているのは、結果と内容の両方を追い求めたからだ。

 
 ヘイミル・ハルグリムソン監督は2011年に代表コーチとなり、13年からはスウェーデン人のラース・ラガーベックと共同監督を務め、16年7月に現職に就いた。足掛け7年に渡ってチームを掌握してきたのだ。国を挙げての育成年代強化と連動しながら、ギルフィ・シグルドソンやフィンボガソン、アロン・グンナールソンら黄金世代と謳われるジェネレーションが国外クラブで研鑽を積み、円熟期を迎えた。EURO2016でイングランドを破るなど8強進出の快挙を成し遂げ、今予選もウクライナ、クロアチア、トルコと強国揃いのグループを7勝1分け2敗で首位通過。それでも、アウトサイダーとしての定評は拭えなかった。
 
 アルゼンチン戦の堂々たるパフォーマンスで、世界はあらためて再確認したのだ。もはやアイスランドは弱小国ではないと。大手メディアがこぞってその戦いぶりを称えている。
 
 ドイツのサッカー専門誌『Kicker』は「もはや彼らは強豪の一角を担っている。アイスランドは間違いなくこの試合の勝者だった」と記し、以下のように論じた。
 
「アルゼンチンは明らかにアイスランドを甘く見ていた。彼らはアグエロのゴールで幸先良く先制したが、すぐさま同点とされて焦燥に駆られたのだ。あの(フィンボガソンの)一撃がもたらした影響は計り知れない。アルゼンチンはイライラを募らせ、どんどんプレー精度を狂わせ、主審に文句ばかりを言うようになったのである。後半もまるで状況は変わらなかったし、アイスランドはどんどん組織としての強度を高めていった。(リオネル・メッシのPKを止めた)ハンネス・ハルドールソンは英雄に違いない。アイスランドのフットボール・ロマンスはまだまだ続きそうだ」
 

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