吉田麻也と槙野智章が求めるボランチ像。西野流ポゼッションのキーマンふたりとは?

2018年06月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「後ろの選手に吸収されないでほしい」というのが槙野の主張

CBとボランチの関係性はポゼッションを高めるうえで重要だ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 CBの吉田麻也は「ボランチがチームを左右する」と思っている。
 
「ボランチがボールを出せなければ、ボールを受けて展開できなければ、どんなサッカーでも苦しいと思う。そこの組み合わせは非常に大事になってくる」
 
 昨夏、吉田にインタビュー際に印象的に残っている言葉が「(ボランチは)プレスをかけてくる相手FWの背後に隠れないでほしいんです。僕がキープした時、顔を出してほしい。そこの選択肢がないと、裏しか蹴れないし、ボールを奪われるリスクも高くなる」というものだった。
 
 CBならではの見解である。CBとしては極力最終ライン付近でボールを持ちたくない。相手に詰められてボールを奪われれば、即失点の危険性があるからだ。できれば横パスも避けたいところである。そのパスをカットされて失点につながるケースは、サッカーにおいて山ほどある。だから、「ボランチに隠れてほしくない」のだ。横パスより失点につながる可能性が低い縦パスのほうが選択肢としてはベターということである。
 
 ボランチにパスを出すという意味では彼らに最終ライン付近までおりてきてもらうというやり方もあるが、吉田は「中盤がすっからかんになるから、おりてきてほしくない」とも言っていた。それと同じような感覚を抱いているのが、同じCBの槙野智章だ。3月のヨーロッパ遠征やガーナ戦を戦って、やはり「後ろの選手に吸収されないでほしい」という見解を述べた。
 
「よくトライアングルという言い方をしますけど、できるだけボールを保持している選手に対して2人以上しっかりとサポートできるボランチが近い距離にいることが一番かなと。あとは幅と深みを持ったボールの動かし方は必要と思っています」
 
 では、一方でボランチはCBとの関係性についてどう考えているのか。ガーナ戦に続き、スイス戦でも先発した大島僚太は、国内合宿の時に「決まった形はない」と述べていた。
 
「自分に付いてくる相手がいるかいないかで変わってきます。もし付いてくるのであれば飛ばしてもらって、その飛ばしてもらった先で僕が関わることができればいい」
 
 ただ、西野朗監督がこだわっているように見える"劣勢時のポゼッション"を考えればCBふたりが主張する「ボランチに縦パスを入れる」というところが最重要になってきそうだ。吉田が言うように、CBが苦し紛れに裏に蹴っても、相手ボールになってしまうだけだからだ。
 
 そこを優先的に考えれば、最大のキーマンは大島、もしくは柴崎岳か。長谷部誠や山口蛍以上に足もとのボールコントロールに優れた彼らがどうゲームをコントロールするか。西野流ポゼッションの完成度を高めるうえで、大島、柴崎の働きは重要なポイントになりそうだ。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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