【岩政大樹】日本代表の課題は両方の「ゴール前」 90分のプランは悪くなかったが…

2018年06月09日 岩政大樹

切り替えやプレッシングは悪くないレベルで維持されていた

精力的にプレスをかけた本田。相手の司令塔をマークし、守備で貢献した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 スイス戦で日本代表は、従来の4バックに戻して戦いました。西野監督は、ワールドカップ前最後のテストマッチとなる12日のパラグアイ戦では、スイス戦でベンチスタートだった選手を使う意向を示していますので、ここまででひとまず当初考えていたプランはやってきたということでしょう。
 
 4バックは選手たちにとって慣れ親しんだシステムで、心地良さはあるのだろうと感じました。そもそも4バックはピッチ全体を均等にカバーできる利点もあり、迷うことなくプレーできているように見えました。ただ、それによって、非常にオーソドックスなチームになったという印象です。相手からすると"何者か"が分かりやすく、与し易かったのではないでしょうか。
 
 切り替えやプレッシングは全体としては悪くないレベルで維持されていたと思います。特徴的だったのは、本田選手が相手のボランチに位置する司令塔・ジャカをマンマーク気味に見ていたことです。スイスの攻撃ができるだけジャカを経由しないように、彼をマークしたり、パスコースを消したりしていました。こうしたキープレーヤーを抑えにいくやり方は、ワールドカップでも見られるかもしれません。
 
 ただ、初戦のコロンビア戦でそれをやろうとした場合の懸念材料が、スイス戦で見られました。日本代表の中盤は、右のボランチが長谷部選手、左のボランチが大島選手、少し右寄りのトップ下に本田選手が立っていました。
 
 これはスイスの形とよくマッチしていてハメやすかったと思います。本田選手と逆のサイドに位置した大島選手が遅れ気味でもうひとりのボランチにプレスにいくことで、長谷部選手が残る形が作れていたからです。
 
 しかし、コロンビアのキープレーヤーは、トップ下のハメス・ロドリゲス。彼は左サイドにも下りてボールを引き出します。それに対応するのは長谷部選手です。スイス戦でも長谷部選手が前につり出された時は、ディフェンスラインの前の守備に問題を抱えていました。ここはコロンビアもスカウティングしてくるはずですから、長谷部選手をハメスの見張り役とするなら、その周りの選手には微調整が必要でしょう。
 
   また、4バックの場合に構造的な問題となるのがディフェンスラインの判断です。4バックは、前線からの守備が効きやすくなる反面、ディフェンスラインにスペースができてしまいます。特に、ゴール前では「ボールを奪う」のか「ゴールを守る」のかの判断をより緻密に行なわなくてはなりません。
 

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