【日本代表】システム併用がもたらす弊害。スイス戦の結果次第で行き着く先は…

2018年06月08日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

スイスに敗れればワーストのケースも想定しないといけない

西野監督はコロンビア戦までの青写真を描けているのか。まずはスイス戦の采配に注目したい。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 スイス戦の前日、ミックスゾーンで対応する長谷部誠のコメントで引っかかる部分があった。
 
「いろんなトライをする意味でガーナ戦は3バックを試したので、ベースは4バックかな、という感覚があります。明日(のスイス戦)に関しても、もちろんどっちでやるかっていうのはあると思うんですけど」
 
 なにが引っかかったと言えば、「ベースは4バックかな」と断定しきれていないところである。ワールドカップの初戦、6月19日のコロンビア戦まで2週間を切った段階でベースが固まっていないのは少々問題なのではないかと、勝手ながらそう思ってしまった。
 
 ゼーフェルト合宿で4バックを採用した練習が多いことから、ミックスゾーンで「3バックと4バックの併用」についての質問が選手にぶつけられているが、それに対する答の傾向として多いのが「3バックと4バックでは意識を変えないといけない」だった。
 
 当然だろう。「システム併用」というフレーズは聞こえこそいいが、選手たちにとっては厄介な代物かもしれない。ポジショニングひとつとっても微妙に変わるわけで、そう簡単に対応できるものではないだろう。ましてやチームの方向性が完全に定まっていない印象の西野ジャパンではむしろ混乱を招くのでは……。

 実際、長谷部はこんなことも言っている。
 
「これだけ限られた時間の中で戦術とか、いろんなものを詰めないといけない部分があるので、選手たちはいろんな話、ミーティングが増えて、頭がいっぱいになってしまう部分があると思う」
 
 だからこそ、システムの併用は危険。ミーティングでどれだけ頭に詰めてもピッチで出せるものは限られているのだから、3バックか4バックかのどちらかに舵を切るべきだ。

 
 本来なら、段階としてトライの時期は終わってないといけない。日本はサッカー大国ではないのだから、グループリーグで対戦する格上の相手を徹底的に分析し、そのうえでどこに勝算があるかを突き詰めて考えていく。その確認作業の場のひとつがスイス戦になるはずである。
 
 本田は8年前の日本とは違うと言うが、それはコロンビア、セネガル、ポーランドも同じ。日本の成長だけで戦い方を考えるのではなく、相手の今の力量を把握したうえでの戦略がなにより必要だろう。
 
 ガーナ戦で3バックが不発に終わり、仮にスイス戦で4バックが脆くも崩されたら──。システムの併用どころの話ではなくなる。それこそ、本田が言う「ワーストのケース」を想定しなくてはいけない。3バックも4バックもダメとなると、行き着く先は5バック? スイス戦の結果次第でそうしたシナリオも考えられる。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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