ワールドカップに向けてどちらかと言えば不安が先行する状況を、もしかすると長友佑都は楽しんでいるのかもしれない。実際、６月５日の練習を終えたあとも満面の笑みを浮かべながらミックスゾーンに姿を現わしたほどだ。
 
　外野の雑音にも左右されず、「良い状態にある」と力強く言った長友は６月８日のスイス戦に向けてもポジティブな姿勢を崩さない。スイスは６月３日の親善試合で強豪のスペインと１－１で引き分けており、日本にとって間違いなく難敵。しかし、「長友くんの対面には（スイスのジェルダン・）シャキリが来るが、また地獄の左が始まる？」との質問にもまったく動じない。
 

「もう地獄だらけなんでね（苦笑）。ただ、自分としてそういう状況のほうが燃える。今までも何度も『長友はもう厳しいんじゃないか』っていうことも言われたりもしてきましたけど、そのたびにそれを反骨心にして、這い上がってやるっていう気持ちでやってきた。むしろ難しい状況のほうがワクワクするじゃないけど、楽しみな部分があって。
 
　次のスイス戦もシャキリとはインテルでやっていたチームメイトだし、実際に個人的にも連絡を取り合っていて仲良かったんでね、あとはサイドバックも、（昨季までユベントスだったシュテファン・）リヒトシュタイナー。まあ個人的にはずっと勝負してきた相手なんでね。楽しみではありますよ」
 
　そんな長友の精神は、強敵と出会うたびに「オラ、わくわくすっぞ‼」と自らを鼓舞していたあの孫悟空（漫画やアニメで大人気のドラゴンボールの主人公）のそれだろう。
 
　長友佑都は強敵と対峙すればするほど強くなる。
 
取材・文：白鳥和洋（サッカーダイジェスト編集部）

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