【小宮良之の日本サッカー兵法書】節制も断食も効果は人それぞれ…単純ではない選手の「食事」事情

2018年06月02日 小宮良之

「食事マネジメント」の先頭に立つC・ロナウド

C・ロナウドの見事な肉体は、徹底した食事管理とストイックなまでのトレーニングによって生み出され、彼はそれを武器として多くの記録を塗り替えている。ただ、他の選手全員が彼と同じことをやるべきかといえば……。 (C) Getty Images

 一般人にとってそうである以上に、サッカー選手にとっての「食事」は、生活における基本と言えるだろう。
 
「身体が資本」の仕事だけに、正しい栄養摂取は欠かせない。そのため、管理栄養士が食事面をサポートしているクラブも少なくない。
 
 そんなサッカー界において、「食事マネジメント」の先頭に立っている選手が、ポルトガル代表クリスチアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)ではないだろうか。
 
 C・ロナウドの肉体は、まるで彫刻刀で削られたような隆起を見せ、美しくすら映る。最大限に研ぎ澄まされた肉体、それは日々の節制の賜物なのだろう。
 
「生物学的には、23歳の肉体と同じ」
 
 ドクターからは、そう診断を受けているという。
 
 C・ロナウドは徹底的に脂肪を嫌い、肉ではなく、魚を積極的に摂取しているという(これはリオネル・メッシも同様で、肉メインから魚メインに食生活を変更することで身体が軽くなり、怪我が激減している)。
 
 それも、食べるのは特定の魚だけでない。サーモン、バカラオ(塩漬けのたら)、メルルーサ、そして故郷マデイラ島の名物である太刀魚など、様々な魚料理を口にしている。
 
 それに加えてC・ロナウドは、シリアル、ドライフルーツ、そしてサラダなどを好む。どれも栄養価は高い。肉も好きだというが、彼は"自制"する精神力を持っているだろう。
 
 そして、一日一杯のワインも欠かさない。ワインは炭水化物を分解する効果があるといわれ、日本では考えられないかも知れないが、前日のチームでのランチなどでも、しばしば振る舞われる。抗酸化作用のあるポリフェノールも摂取できるだけに、それもC・ロナウドの若い肉体維持に一役買っているのだろう。
 
 とはいえ、結局のところ「食は楽しむもの」であり、その人に合うか合わないかというのは、一概には言い切れない。昔、日本代表でも「野菜は食べない(食べられない)」という選手がいたし、各人が楽しめる食事を選択するのが第一。人それぞれの事情もあるだろう。

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