【現地発】トップチームの2冠達成の裏側で…バルサBの「失われた1年」

2018年06月02日 エル・パイス紙

わずか1年で2部から2部B(実質3部)へ降格。

目先の勝利を追い求め、外部から選手を補強したにもかかわらずバルサBは1年で2部Bへ降格。今夏にトップ昇格を果たすのも、このアレニャ(背番号10)ひとりと言われている。(C)Getty Images

 2017‐2018シーズンのスペイン2部リーグで、バルセロナBほど正体がつかめないチームはなかった。

 バルサカラーの青とエンジのユニホームを着ていなかったら、ただ補強に失敗し、選手が大量に入れ替わり、監督が交代し、アイデンティティーを失った特色のない新参チームと見間違われても不思議はなかった。

 バルサBは最終節のひとつ前、41節のアルバセーテ戦に0‐0で引き分け、2部Bリーグ(実質3部リーグ)への降格が決定した。

 その試合、敵地カルロス・ベルモンテ・スタジアムへの遠征には、クラブの重役がひとりとして帯同せず、4月末に解任されたジェラール・ロペス監督の後を受けて急遽就任したガルシア・ピミエンタ監督や選手たちの周辺には、クラブから見捨てられたような空気が、試合前から漂っていた。一丸となって降格を回避しようというムードは微塵もなかった。
 
 バルサBは今シーズン、3年ぶりに復帰した2部リーグに残留することを最大の目標に掲げて開幕を迎えた。しかしながら、そもそものBチームの目的は有望な若手選手の育成にあるはず。これについては、フロント陣がむやみに重圧を与えた感は否めない。

 マシア(バルサ下部組織の総称)の伝統を無視して結果を追い求めすぎたがゆえに、監督、選手たちの間にも勝利至上主義が浸透してしまった。そして結局、11試合も白星から遠ざかるなどノルマを果たせなかったチームは、なんの慰めも得ることなく2部Bへの降格が決定している。

 直近の3シーズンで、バルサBには外部から34人もの選手がやって来た。だが、そのうち19人がすでに退団し、しかもその19人のうち5人は、バルサBの公式戦に一度も出場することなくクラブを去っている。

 今シーズンだけを見ても、移籍市場に600万ユーロ(約7億8000万円)を投じ、レンタル組も含めれば昨夏に11人、今冬に5人の選手を補強。そのうち5人がシーズンの終了を待たずにチームを離れているのだ。

 そんな中、トップチームのエルネスト・バルベルデ監督が目をかけていたホセ・アルナイスは恥骨炎を患い、2月10日に行なわれたアルコルコン戦(2部の26節)を最後に戦線離脱を余儀なくされた。
 

次ページカンテラからトップに定着したのはS・ロベルトが最後。

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