【テストマッチ現地レポ】 マネ欠場のセネガル、悪コンディションでも攻守でポテンシャルの高さを示す

2018年06月01日 中野吉之伴

ルクセンブルクにスコアレスドローも…

写真のニアングはやや気合が空回りしたものの、セネガルは迫力のある攻撃を随所で披露した。 (C) REUTERS/AFLO

 欧州の長いシーズンが終わった直後に行なわれるこの時期の親善試合は、見極めが非常に難しい。何をポイントとするのかで、見方も捉え方も大きく変わる。
 
 5月31日、ルクセンブルクのシュタッド・ジョジー・バルテル・スタジアムで開催されたルクセンブルク対セネガルの親善試合は、スコアレスドローに終わった。
 
 結果と試合展開だけから見ると、「動きに精彩を欠いたセネガルは、中盤でのミスが多く、非常に組織的で粘り強い守備を見せたルクセンブルクに苦戦。時折、個人技でチャンスを作り出すも、GKのファインセーブもあり、無得点で終わった」という内容に落ち着く。
 
 だからといって「セネガル得点力不足を露呈!」とか、「連係ミスが目立ったセネガル。日本にも付け入る隙はある!」という見出しで騒いだり、楽観ムードを煽ったりするのは、明らかに論点が違う。まずは、どんな状態でこの試合が行なわれたかをしっかりと考える必要がある。
 
 セネガルはこの試合、チャンピオンズ・リーグ決勝までシーズンを戦ったエースのサディオ・マネを休養させた。彼は、記者席で関係者ともに観戦。この段階で、チームにとっては大きな変化だった。
 
 またセネガル人記者によると、「2部練習続きで、身体的に追い込まれた状況での試合だった」ようで、なるほど、選手みんな身体にキレがなく、ボールが足につかないのも致し方なかったと言えるだろう。
 
 身体の疲れは頭の回転を鈍くする。この試合では、特にボールがないところでの動き出しがとても鈍く、ルクセンブルクの鋭い出足の守備の前に、あっさりと捕まってしまうことが多かった。だが、状態がきついのが分かっているなら、試合のなかでそうした状況になるのは、ある程度推定できる。
 
 だからだろう。試合後、ゲーム内容について問われたアリウ・シセ監督は、「内容は大体良かったが、効率性に欠けていた。(3月27日に行なわれた)ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも同じようにチャンスはあったが、ゴール前でのフィニッションの面で効率性を上げなければ」と、比較的さばさばとした様子でコメントを残した。
 
 またこの日は、システムでチャレンジがあったという背景もある。基本となるシステムは4-3-3だが、3月のボスニア戦では3バックを試し、この日は4-2-3-1を仕様だった。
 
 本来はアンカーの位置で起用されることが多いキャプテンのシェイク・クヤテが、DFの要であるカリドゥ・クリバリとCBでコンビを組み、ボランチではイドリッサ・ゲイエとアルフレド・エンディアイエの2人。そしてサイドMFには、左にケイタ・バルデ・ディアオ、右にイスマイラ・サールが起用された。

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