【W杯 ギリシャ戦プレビュー】ハイプレスとハイラインこそが日本の生きる道だ

2014年06月19日 原山裕平

右SBのトロシディスが攻撃参加した裏を突きたい。

香川、長友のサイドが右SBトロシディスに押し込まれるようだと、日本は苦しくなる。 (C) SOCCER DIGEST

 ポゼッション型の日本と、堅守速攻型のギリシャ。対極にある両者のスタイルを踏まえれば、「攻める日本」と「守るギリシャ」の構図で試合は進んでいくだろう。
 
 とはいえ、「攻める日本」が常に優位に立っているとは、単純には言い切れない。相手にボールを持たせるのは、ギリシャの常套手段だからだ。日本にとっては、よく言う「持たされている状態」に陥ると、それは危険な兆候と言えるだろう。
 
 ポゼッションで勝りながらもなかなかチャンスを作れず、時折パスを引っかけられて、カウンターからあわやという場面を作られる。これがまさに「持たされている状態」だ。このようなシーンが続くようなら、試合の流れはギリシャの手の内にあると考えていい。
 
 それを回避するには、「我慢」が必要となる。支配率の高さとチャンスの数が比例しないことに焦るのではなく、いかに我慢してボールを回しながら相手の隙を探り出せるか。その作業は実に地道だが、負けたら敗退が決まる可能性の高い「サバイバルマッチ」の色合いが強いこの試合では、とりわけ1点の重みが大きくのしかかってくるだけに、焦りからの自滅だけは避けたいところだ。
 
 もちろん、ギリシャもただただ日本のボール回しを受けて立つことだけを考えているわけではないだろう。とりわけ彼らの右サイドの攻撃は、注意したいポイントだ。
 
「相手の右サイドがカギになると思う」と清武弘嗣も指摘する攻撃的右SBのトロシディスは、日本のスカウティングで警戒すべき選手として名前が挙がっている人物だ。ローマでプレーするこの実力者が頻繁に攻撃参加を繰り返せば、日本のストロングポイントである香川真司と長友佑都の左サイドの威力を消し去る可能性もある。ふたりが守備に追われれば、コートジボワール戦の再現も考えられる。
 
 香川は「いろんな分析はしているし、それは自分たちも理解している」と、対策を練っていることを明かし、長友も「攻撃だけじゃなく、守備でも積極的な守備をしないといけない。腰が引けたような守備じゃなくて、どんどん出ていくような守備をしたい」と、強気な姿勢を崩していない。
 
 もちろん敵のSBが出てくれば、スペースが生まれる。その隙をいかに突けるか。表裏一体の緊迫感を漂わせるこのサイドの攻防が、試合の行方を大きく左右することになるはずだ。

次ページ生き残るためには「アグレッシブなスタイル」を貫くのみ。

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