J3降格も現実味…低迷する京都はジュロヴスキー新体制で巻き返せるのか?

2018年05月29日 雨堤俊祐

戦術指導はキャンプから一貫してジュロヴスキー氏が担当していたが…

16節終了時点で20位の京都。すでに10敗目を喫しており、苦しい状態が続いている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 低迷を続けていた京都は、J2リーグ12節の栃木戦に敗れた後、布部陽功前監督を解任。後任にフィジカルコーチ兼コーチとして今季から加入していたボスコ・ジュロヴスキー氏が就いた。

 今季は近年続いていた大型補強を行なわず、成長過程にある選手たちを育てながらリーグを戦っていく方針だった。だが、10節終了時に最下位に転落するなどJ3降格の危機は無視できず、開幕からわずか2か月で監督交代へと踏み切った。
 
 それから4試合を戦い、結果は1勝3敗。愛媛との裏天王山をなんとか制して最下位と降格圏こそ脱出したものの、苦しい状況は続いている。

 試合内容も同様だ。今季は開幕前から、パスをつないでサイドアタックを中心に攻撃を仕掛けるスタイルを掲げてきた。その為のトレーニングにおける戦術指導は、沖縄キャンプから一貫してジュロヴスキー氏が担当している。布部前監督が担っていたとされる戦い方や起用する選手の選定などの指揮権が譲渡されてからも、練習内容に大きな変更は見られない。監督が交代したとはいえ、継続性は失われていないと言えるだろう。裏を返せば、劇的な変化は期待できないのではないか……という見方もあった。
 
 しかし、56歳のセルビア人指導者は、正式な監督就任後の初戦となった14節・徳島戦で、さっそく動いてきた。GKにプロ1年目の若原智哉を抜擢したのだ。年代別代表の常連でもある18歳の若原はプロの舞台に物怖じすることなく持ち味を発揮しており、16節・横浜FC戦では再三の好セーブでピンチを救い、失点を最小限に留めている。
 
 また、この試合では京都U-18所属の高校生MF上月壮一郎もスタメンに抜擢。彼も年代別代表として活躍する期待の若手で、前半のみの出場だったが左サイドから積極的な仕掛けを見せた。ベンチには昨年のU-17日本代表でキャプテンを務めた同じく高校生MF福岡慎平もメンバー入りしており、練習試合で結果を出した若い力を登用することでチームに刺激を与えようとしている。
 
 他にも、前線からのプレスが弱いという問題に対して、19歳の岩崎悠人や23歳の大野耀平といった攻守に走れる選手の起用が中盤と最終ラインの負担減につながるなど、少しずつ自身のカラーを打ち出している。
 

次ページ今はまだ変貌の兆しが見えてきたにすぎない。

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