【W杯 伝説への挑戦】惨敗からのスタートで、改めて問われるC・ロナウドの真価

2014年06月18日 豊福晋

ゴールを狙ったFKで何度が会場を沸かせたが…。

試合後、ドイツのシュバインシュタイガー(左)と言葉を交わす。この惨敗からポルトガルをどう立て直すか。改めて真価が問われる。 (C) Getty Images

 6月16日、サルバドール――。
 
 ドイツとの初戦で、クリスチアーノ・ロナウドは期待された活躍を一切見せることができなかった。
 
 試合前の表情は力強かった。それが、ドイツが得点を重ねるたびに、失望へ、そして諦めへと変わっていった。
 
 結果は0-4の大敗だった。スペインのマドリードを拠点に、普段はロナウドに甘い『マルカ』紙さえも、手厳しい評価を下した。ロナウドの採点は「4.5」。それほど低調だった。
 
 このドイツ戦、ロナウドはいつものように4-3-3の左ウイングに入った。CFは長身のウーゴ・アウメイダ、右サイドは大会前の合宿でキレのある動きを見せていたナニ。この3トップを活かす中盤は、ジョアン・モウチーニョ、ラウール・メイレレス、ミゲウ・ヴェローゾと、これまたいつもの顔ぶれが並んだ。
 
 ところが、いつもとは違った。何もかもが、だ。モウチーニョやメイレレスから良いパスは出ず、カウンターも不発だった。
 
 ゴールを直接狙ったFKで、ロナウドは何度か会場を沸かせた。しかし、それ以外は消えていたも同然だった。試合前には、「痛みはまだあるが、それはもう慣れた」と、懸念された左足の不安を打ち消すコメントをしていた。期待は高まっていたのだが……。
 
 たしかに、相手が悪かった。この日のドイツは攻守にまったく隙がなかった。おそらく出場32か国でもっとも仕上がりが良かっただろう。これにペペの退場という不測の事態が重なったのだからたまらない。
 
 試合後、ロナウドは何も語らずスタジアムを後にした。相手がどんなに素晴らしくても、味方にどんな困難が降りかかっても、敗北は敗北だ。エクスキューズを見つけて、やむ得ないことだと惨敗を受け止めるつもりは、ロナウドにはない。
 
 第2戦は6月22日、マナウスでのアメリカ戦だ。ポルトガルにとっては、勝利が絶対に必要な試合となる。
 
 ただ、ドイツ戦で負傷したH・アウメイダ、左SBのファビオ・コエントラン、そしてGKのルイ・パトリシオの欠場が濃厚(コエントランは大会中の復帰が絶望でチームを離脱)で、ペペはサスペンションで出られない。主力4人を欠くのは大きな痛手だ。
 
 だが、この苦境を救える選手がいるとすれば、それはロナウドだろう。その真価が、改めて試される。
 
文:豊福晋
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