その存在は敵にシステム変更を強いるほど! 川崎の司令塔がW杯中断前最後の試合で放った輝き

2018年05月22日 江藤高志

清水戦前半の攻勢をリードしていたのは大島僚太だった。

清水戦、前半の攻勢を牽引したのは大島だった。相手にシステムチェンジを強いるほどの存在感を見せた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 川崎フロンターレが3対0の快勝を収めた5月20日の清水エスパルス戦。内容で圧倒され、2点のリードを許した清水が後半に入って選択したのが、3バックへのシステムチェンジと、それに伴い中盤を1枚増やすという手法だった。

 それによって、川崎側でプレーに制限がかかったのが大島僚太だった。川崎が押し続けた前半とは打って変わり、後半が拮抗した展開になった理由のひとつが清水の中盤の枚数の増加にあり、それは逆に言えば相手チームにシステムチェンジを強いるだけのプレーを大島が見せていたということでもある。

 その大島とボランチでコンビを組んでいた守田英正は、後半に入りシステムを変えてきた清水に対し、どう対処するのかを大島とピッチ上で話し合っていたという。

「後半相手のシステムが変わって3バックになった時に(清水の)中盤がひとり多い中でどういった守備をするのか、という話をしていました」

 後半の清水の守備について守田は「自分たちがボールを持つと、相手がどんどん前からハメに来る。プラス、自分と僚太くんに対してマンツーマンで来る形が多かった」とも話す。前半の川崎のエンジンが彼らボランチコンビにある事を見抜き、そこを潰しにかかってきたことになる。ただ、逆に言えばそれは清水のポジションのアンバランスさを招くことにもなる。
 
 この点について守田は「逆にその分、FWとかサイドに対しての圧がなくなるので、一個自分たちのところで剥がして他の選手に預けることで圧が分散されるので。そういうのは意識しました」と振り返る。前半ほどには清水を圧倒することはできなかったが、それにしても状況に応じて反撃に出ていたのは、つぶしに掛かってきた相手のプレスを上手く外したところからの組み立てにあった。

 一方的に攻め込まれた前半を反省した清水は、川崎のキープレーヤーを徹底的に潰しにかかる。そこまでの戦術変更を施した結果、前半輝いていた大島は後半、やや無難なパスが多くなり、消え気味のプレーを強いられた。その結果が後半盛り返した清水の試合内容に直結した。つまり大島がこの試合を動かしていたということであろう。

次ページ「気持ちの上で全員が上回った」ことが勝利をもたらしたと大島。

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