W杯 岡崎慎司が明かす初戦の「後悔」とギリシャ戦への「覚悟」

2014年06月18日 原山裕平

「あの内容で、あのまま勝たなくて良かったと思う自分がいる」

コートジボワール戦では、先制した時間帯から徐々に消極的な姿勢に傾いていったことが悔やまれた。 (C) SOCCER DIGEST

 岡崎慎司にはひとつの後悔がある。なぜ、あの時に信念を貫けなかったのか――。あの時とは、コートジボワール戦で先制点を奪った後の時間帯だ。
 
「先制した時点で、さらに自分たちから仕掛けていこうという気持ちはあった。実際に、仕掛けていた部分も多かったと思うけど、徐々に1-0でいいや、という雰囲気がチームの中に漂ってしまった。その後に1-1に追いつかれた時点で、もう取り返す気力もなかったし、自分たちのなかにアイデアもなかった」
 
 その原因を岡崎はこう考えている。
「それってたぶん、ワールドカップの怖さだと思う。自分たちのサッカーをやり切るという覚悟が足りなかった」
 
 ワールドカップとは、4年間かけて築き上げてきた「自分たちのサッカー」の集大成を示す場であり、だからこそスタイルを貫くことは重要である。一方でワールドカップとは、結果こそが最優先される大会でもあるのだ。それゆえに結果を求めるあまり、コートジボワール戦の日本は自分たちのサッカーを放棄してしまった。
 
「守れば勝てると思ったのは、今までにはなかった。すごく勝ちたかったからこそ、そういう気持ちになってしまったのかもしれない」
 
 自分たちのサッカーを放棄し、消極的な姿勢へと傾いてしまった。結果的にその意識が、あの悲劇を生み出してしまったのだ。
 
「正直、あの試合に関しては守ることだけに集中していた部分がすごくある。1-0になった時点で、守ることに意識を費やしたというか。たぶん、それまでの試合で失点が多かったのも原因。コートジボワール自体も攻めあぐねていたので、守りを重視すれば、このままいけるんじゃないかという気持ちがあった」
 
 ただし、そんなサッカーで勝ったところで、未来はあるのか――。そう自問した時、岡崎にはひとつの答が導き出された。
 
「もちろん勝った方がいいに決まっているけど、あのまま勝たなくて良かったなと思う自分もいるんです。たぶん、あの内容で勝っていても得る物はなかったと思う。負けたことで、自分たちは、どんな状況でも攻める気持ちを持ち続けなければいけないと言われた気がする。それってワールドカップでなければ学べなかったと思う。そういう意味では、ワールドカップをやっと経験できたのかもしれない。だから割り切っていますよ。あの試合は、そういう試合だったと」

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