【総体】ナイジェリア人FWの加入が転機に!高知中央が10年ぶりに夏の全国行きを決めた理由

2018年05月22日 森田将義

超快速ストライカー・オニエがチームの攻撃を牽引!

留学生としてチームに加わったオニエ。既にJからも注目を集める上昇株だ。写真:森田将義

 インターハイ一番乗りを果たしたのは、2005年から強化を始めた四国の新興校・高知中央だ。
 
 岡豊との決勝戦を2-0で制し、10年ぶりのインターハイ出場が決定。その瞬間、「最高に嬉しいっす!」と満面の笑みを浮かべた主将のDF嶋口晴斗(3年)を中心にピッチの至る所に歓喜の輪が広がった。
 
「ここまでの道のりは本当に長かった」と就任7年目の矢田翔太監督が振り返ったように、2度目のインターハイ出場までの道のりは決して一筋縄ではなかった。強化3年目の07年に選手権初出場を果たし、翌08年にはインターハイにも初出場。プリンスリーグ四国も経験したが、そこからは目立った結果を残せずにいた。12年に矢田翔太監督が就任してからは、シュートとパスとドリブルに拘った"楽しいサッカー"を志向。評判を聞きつけた選手が全国から集まるようになったが、「理想のサッカーをやりながら、結果を出すのは凄く難しかった」(矢田監督)。
 
 転機となったのは、昨年春にナイジェリア人のFWオニエ・オゴチュクウ・プロミス(2年)が加入したことだ。学校がスポーツ強化の一環として、バスケ部がアフリカ系の選手を迎え入れたのをきっかけに、各部に留学生が入学。オニエも取り組みの一環として、昨年春に高知中央の門を叩いた。12歳からサッカーを始めた遅咲きながらも、スピードや跳躍能力は一級品で、「とんでもない奴が来たなと思った」(矢田監督)。
 
 英語しか話せなかったこともあり、入学当初はチームメイトと打ち解けられなかったが、「サッカーではあれほど怖い奴はいないけど、ピッチ外ではめっちゃ可愛い。お茶目でいつも構って欲しそうな雰囲気を出していて、弟みたいな奴」(嶋口)という性格が功を奏し、仲間との距離を急速に縮めた。
 
 この決勝戦も後半途中で交代させられたように体力面や守備面での課題は残るが、「一発を持っている。オニエがいるだけで、相手のディフェンスラインが下がるなど、効果は大きい」(矢田監督)。チームへの貢献はピカイチで、今大会も準決勝の土佐高戦で2ゴールをマークするなど、要所できっちり仕事を果たしてタイトル獲得に一役買った。

次ページ注目ストライカーの存在がチームの刺激になり、今大会は攻撃陣が爆発!

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事