【日本代表】深刻な人材難のSBに室屋はどうか? 今季は切れ味も嗅覚もひと味違う 

2018年05月13日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

鹿島戦で2ゴールに絡み、札幌戦でも53分に絶好機を演出

このところJリーグで躍動感溢れるパフォーマンスを披露している室屋。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 ロシア・ワールドカップに臨む日本代表のメンバー23人を予想した場合、おそらくサイドバック(以下SB)で躓く。「あれ、人材がいなくない?」と。右は酒井宏樹(マルセイユ)、左は長友佑都(ガラタサライ)と不動のレギュラーはいるものの、このふたりに続くタレントが正直、見当たらないのだ。
 
 有力候補と目された酒井高徳(ハンブルク)が3月の代表戦(マリ戦とウクライナ戦)で不甲斐ないパフォーマンスに終始し、マリ戦で右SBとして試された宇賀神友弥(浦和)も散々な出来だった。単純なパフォーマンスで判断すれば、鹿島の内田篤人はベストとは言い難く、なかなかの人材難に陥っているのである。
 
 過去の招集歴で候補者を挙げるなら、右が浦和の遠藤航で、左が川崎の車屋紳太郎あたりになるが、そんな彼らの立ち位置も有力というよりは当落線上だろう。
 
 正直、SBは左右のバックアッパーとも不透明。ならば、FC東京の室屋はどうかと、最近の彼のパフォーマンスを見てそう思ってしまう。昨年12月のE-1選手権(北朝鮮戦)でA代表にデビューした本人は「あの時は全然ダメでしたね」と言うが、今の室屋なら即戦力になりえるかもしれない。
 
 例年以上に状況判断が素晴らしく、7節の鹿島戦で2ゴールに絡んだように"切れ味"もも"嗅覚"も冴えている。5月13日に行なわれたホームの札幌戦でも53分に見事な攻め上がりから敵エリア内に侵入するような場面があった。

 昨季は運動量を頼りに強引に突破していたが、今季はオーバーラップの切れ味、そこからチャンスボールに絡む嗅覚がやはり光るのだ。当人は「昨季から特に変わってないと思いますよ」と言うが、このところの室屋は明らかにひと味違う。
 
 ロシア・ワールドカップを目前にコンディションをグッと上げてきた印象もある室屋が、SBの人材難に悩む日本代表の救世主的存在になったとしても決して不思議はないだろう。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
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