「素晴らしい忠誠心」「圧巻の出来だった」エイバル乾貴士のプロ魂をスペイン紙が絶賛!

2018年05月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

退団を明言して臨んだゲームで奮迅の働き

エイバルに別れを告げ、新たな挑戦をスタートさせる乾。退団明言後初となるゲームで圧巻のプレーを連発した。(C)Getty Images

 契約満了に伴い、今シーズンいっぱいでエイバルを去る乾貴士。4月29日の35節バレンシア戦後にその事実を公にしたが、決まっているはずの新天地の名はあえて明かさなかった。3シーズンを過ごしたエイバルと、熱いサポートを続けてくれたサポーターへの配慮だろう。
 
 とはいえ、この1か月近くはさまざまな去就報道があり、周囲が騒がしくなっていた。スタメンを外れたりベンチ外になるなど立ち位置が微妙だったのは確かで、ピッチ上のパフォーマンスにも少なからず影響を与えていた。そして迎えたのが、36節のジローナ戦だ。
 
 その試合で、久々にスゴ味を見せつけた乾。チームの全4得点中、実に3得点に絡んだのだ。
 
 まずは開始9分。相手選手のバックパスに反応して身体を投げ出し、敵DFと激突しながらヘディングで前へ残す。これが高速カウンターを引き出し、エイバルは早々と先制に成功する。2-1で迎えた80分にはマリーシアを働かせた。ピッチ中央で倒されると、素早く起き上がって前線に走り込むジョアン・ジョルダンへ見事なピンポイントパス。1アシストを記録した。
 
 そしてスーパーだったのが89分の強力ミドルだ。敵陣のペナルティーエリア手前で落としを受けた乾は、軽く持ち出してから右足を豪快に振り抜いた。これが相手GKの手を弾いてゴール右に突き刺さり、駄目を押したのだ。試合は4-1でエイバルが快勝。リーグ戦では14試合ぶりとなる3得点以上で、順位をふたたび10位に上げてきた。

 
 ゲーム直後の速報でも乾のハイパフォーマンスを称えていたスペイン全国紙『Marca』が、火曜日の紙面であらためて日本代表MFの働きぶりをフィーチャーした。「イヌイは許しを勝ち得た」と題して、こんなレポート記事を掲載したのだ。
 
「日曜午後のタカシ・イヌイは圧巻の出来だった。彼にとってはこんな試合が必要だったに違いない。エイバルとの契約を延長せずにベティスに旅立つ決断を下した。控えめなハポネス(日本人)はあえて多くを語らず、黙々と日々のトレーニングをこなしていたのだ。そして自分の心はまだイプルーア(エイバルの本拠地)にあり、エイバルの勝利に貢献したいという想いを、しっかりと結果で示したのである。4得点のうち3得点に関わって見せたのだから申し分ない。素晴らしい忠誠心だ」

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