浦和新監督の手腕に槙野智章も感嘆!「オズの魔法使い」が見せた戦略家の一面

2018年05月07日 原田大輔

鹿島戦で見せた巧みな修正力

古巣の鹿島戦の采配は、実に理にかなったものだった。写真:徳原隆元

 [J1リーグ13節]鹿島1-0浦和/5月5日/カシマ
 
 試合後、カシマスタジムの記者会見場に姿を見せた浦和のオズワルド・オリヴェイラ監督は、少し懐かしそうに周囲を見渡すと、顔なじみの記者たちに「再会できて嬉しい」と挨拶した。
 
 2007年から鹿島を率いてリーグ3連覇をはじめ、6つの主要タイトルを獲得。2011年シーズンをもって鹿島の指揮官を退いてから、実に7年ぶりの帰還となった。
 
 だから、かつてはホームだったスタジアムに、敵将として戻って来た心境を聞かれたオリヴェイラ監督はこう答えた。
 
「このスタジアムで鹿島と対戦することを考えた時には眠れない夜もありました」
 
 ただし、そこは母国のブラジルでも実績を残してきた指揮官である。
 
「私は今までに20クラブくらいを指揮してきて、どのクラブとも対戦経験がある。過去に指揮を執ったクラブと対戦する機会はいずれ訪れること。自然に、プロらしく挑もうと思っていました」
 
 注目の一戦は、25分にPKを決めた鹿島が1−0で勝利した。ただ、その内容を紐解けば、オリヴェイラ監督が就任して間もない浦和ではあるが、互角の戦いを見せた。
 
「両チームともゴールを目指して動き続けた素晴らしいゲームでしたが、結果のみが内容を反映していなかった。なぜなら、それは、浦和が試合を支配して相手を押し込んでいたからです」
 
 オリヴェイラ監督と言えば、大事な試合前には家族からのビデオレターを流して選手たちを鼓舞するなど、稀代のモチベーターとして知られている。選手の心情に訴えかけるエピソードの数々から、『オズの魔法使い』と呼ばれたが、彼がそうした愛称で呼ばれるのは言葉を巧みに操るからだけではない。
 
 浦和の指揮官就任後、初勝利となった前節の川崎戦、惜しくも敗れた今節の鹿島戦を見て感じるのは、試合中に見せる巧みな修正力であり対応力だ。
 
 鹿島戦でも3-5-2システムを採用した浦和は、高い位置でボールを奪うと、2トップの興梠慎三と武藤雄樹をCBの背後に走らせた。ただ、それを鹿島が把握して中央を固めると、特に後半はSBの背後を狙ってスペースを活用した。柏木陽介に代えてマルティノスを投入した60分以降は、さらにサイドを活かした攻撃に拍車を掛けた。ロングボールを用いてサイドへパスを展開したDFのマウリシオが言う。
 

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